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育児・介護休業法の改正に伴い4月以降、男性の育休取得が企業に強く求められるようになる。休業中の社員の業務を誰が担うか。今後は介護や自身の病気などで休む人も増えることが予想される。これを機に、誰が休んでも業務が滞りなく進むような仕組み作りが必要になる。

不動産投資会社のファンタステクノロジー(東京・渋谷)では昨年、シニアリーダーの尾平泰崇さんが約1カ月の育休を取得した。社内の連絡チャット「スラック」では同僚などに負担がかかることを申し訳ないとした上で「妻の支えがあって日々、よい仕事ができている」と理解を求めた。

休業中の社員の業務を誰が負担するか。多くの企業が抱えるテーマだ。

育休取得者の業務「社内副業」で募集

同社ではある女性社員の提案を基に新たな制度作りに取りかかった。その社員は社内の様々な業務を経験することでスキルアップしたいが、頑張りはきちんと評価してほしいとの思いから「社内副業」を考えた。

人手が必要な業務について目安時間や報酬を示して社内ネットワークで募集。希望する社員と会社は委託契約を結び、業務時間外で仕事をする。仕事の評価はあくまで本業部分だけだ。負担が大きくなりすぎないよう人事部門が調整する。

これまでにも人手が足りないことはあった。そのときには社員が残業したり外部に委託したりしてきた。副業制度にすることで経済的な負担はそのままに、意欲のある社員に委託することができ、社員のスキルアップにもつながる。

1月に新たな制度「グッドジョブパス」としてスタートさせた。自社メディアの記事執筆やデータ入力など6つの仕事がすでにネットワークにあがっている。

介護休業の増加にも備えよ

建設機械メーカーの技研製作所は2019年に女性社員の手で男性育休取得の推進プロジェクトを発足させ、それまでゼロだった取得者を20年度は8人に増やした。トップの推進宣言に続き、育休対象者とその上司を集めた説明会、全社員を対象にした研修を通じて意識を変えた。

併せて残業時間を増やさなくても育休社員の業務を周囲が担えるよう、無駄な業務を排除したり作業動線を見直したりした。育休取得者を多く出した部署は生産性の向上に寄与したとして前向きに評価する。

育休対象者には休業中の収入が試算できる「給付金シミュレーション」で経済的な不安に答えるほか、3カ月以上休業する人には会社から最大15万円の支援金を出す。「今後、親の介護や自身の病気で長期休業する社員が増えることを考えると、今のうちに誰が休んでも大丈夫な組織に変えていく必要がある」と前田みか専務は話す。

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