dressing

2022/6/20
「うな重」。「濱新」では皮の食感もウナギの持ち味と考え、適度に食感を残している

「うな重」は、野菜の小鉢・お漬物・お吸い物付き。野菜の小鉢はその時々で変わるが、取材日はカブの煮物。

ウナギは、愛知県西尾市(旧一色町)産を主に使用。一色産のウナギは全国的にも珍しく河川水を利用しており、天然ウナギに近い環境で育てられていることで知られている。

そのため時季によって脂ののりが大きく変わるので、蒸し時間や焼き時間を分単位で調整している。一番脂がのっているのは2月頃のウナギで、身だけでなく皮までとろけるほど軟らかくなる。春先から夏にかけては脂が少なくなるので、蒸し過ぎないよう細心の注意をはらっている。

「その時季なりのおいしさを最大に引き出すのは本当に難しいのですが、そこが腕の見せどころ。うちに1年間通ってくださったお客さまが『ウナギって四季があるんだね』とびっくりされるんですよ」(山菅さん)

一般に関西のウナギのたれは甘口で、関東は辛口だが、「濱新」の初代は関西風の割烹で修業をしたので、たれは関西風と関東風の中間。すっきりした甘辛さが、ふわっと軟らかな身と白飯を最高に引き立てている。

「皮までとろける軟らかさ」にこだわる店も多いが、「濱新」では皮の食感もまたウナギの持ち味と考え、適度に食感を残している。ウナギの皮好きな人にはたまらない味だ。

この店の魅力は、ウナギだけではない。シンプルな一品料理も抜群においしいのだ。

「自家製玉子焼き」。しっかり味がついているタイプ

その筆頭が「自家製玉子焼き」。玉子焼きというと「だし巻き玉子」を出す店が多いが、「濱新」の玉子焼きは初代から伝わる、関東風の「厚焼き玉子」。玉子にしっかり味をつけて焼いているので、しょうゆを足さずに食べるスタイルだ。

しっかり焼き固められうま味が凝縮した玉子をかみしめると、甘辛いだしがじゅわっとしみ出す。甘辛い玉子焼き好きには、間違いなくストライクゾーンだろう。「昔はもっと硬くて甘みも少なかったのですが、ここ20年くらい、お客さまの好みがどんどん甘口になっているので、それに合わせて甘みを足しています」(山菅さん)。