Men's Fashion

夏の仕事服は「チノより真っ白パンツ」石津祥介氏

石津祥介のおしゃれ放談

今こそ楽しむ白パンツ(上)

2022.6.13

定番の白パンツ・白デニムをどう着こなすか。靴の合わせ方1つでも表情が変わってくる

春~夏のオフィスカジュアルのボトムスといえば、まずアースカラーのチノパンツが挙げられる。堅すぎず、柔らかすぎずという加減の良さに加え、トップスとのコーディネートが容易という長所がある。そんな今、服飾評論家の石津祥介さんが強くおすすめするのが白パンツだ。蒸し暑い季節でも爽やかな印象を与え、ジャケットとの相性も抜群。「汚れやすいから」とか、「オフのイメージが強い」といった理由で敬遠する人もいるが、ちょっとした工夫でビジネススタイルにも断然フィットし、見慣れたオフィスカジュアルに新鮮な表情を加えてくれる。ファッションが好きという外資系金融機関に勤める安藤健治さんにも議論に加わってもらい、大人の白パンツの着こなしについて指南を仰ぐ。まずは普及の歴史とビジネスシーンでの利用について。後編では遊び着としてのコーディネートを掘り下げてみる。




白パンツ、流行はデニムから

――白パンツは何にでも合わせやすく、万能なアイテムです。そう分かってはいても、ビジネスの場でははきにくいという読者が多いようです。つい無難なオフホワイトやベージュ系を選んでしまうと。

石津「気分が明るくなるのが白。今こそ白パンツをはこうよ。それも、パキッとした真っ白じゃないとだめ。生成りやオフホワイトでは白パンツ本来の良さが出ないんだ。でもさ、昔は男が白パンツをはくなんて、体操の時間くらいしかなかったよ(笑い)」

安藤「ありましたよね、体操着(笑い)。振り返ってみれば、中高年世代の間では、なかなか白パンツが普及しませんでしたね」

――その大人たちがワードローブに組み入れ始めたのはいつごろなんでしょう。

石津「薄い色味のパンツはチノパンが長らく市場を席巻していたので、『まだチノパンをはいているの?』と問題提起したことがあります。20年ほど前かなあ。その時に提案したのが白のデニム。もちろん市場には白デニムがあったけど、当時のおじさんマーケットには浸透していなかった。チノパン一辺倒だったの」

安藤「僕が記憶しているのは1980年代後半にフレンチトラッドが流行して、同時にリーバイスの501の白が高校、大学生の間で大流行しました。これが白デニム人気の火付け役になりましたね。僕はそのホワイトリーバイスにラコステのポロを合わせて、スカーフを首に巻いてローファーを履いた。これがド定番だったといいますか」

(左から)リーバイス、ユニクロ、GU。GUはサイドの飾りである側章がしゃれたアクセントに

――ホワイトリーバイスという通称で若者の間ではブームになったわけですね。でも中高年まではそのムーブメントは届かずに……。

安藤「トレンドがアメカジ(アメリカンカジュアル)から渋カジに移るちょっと手前だった気がします。フレンチトラッド流行のさなかでは、冬でも白パンツをはきたい、と年中手放さないでいるような具合でした。その当時は白をアクセントにして、上は紺や黒を合わせる。そんな白が映えるコーディネートを考えていましたね。少しモードっぽく」