
2021年にオープンしたラーメン店の中でも、とりわけ個性的な店が「炭火焼濃厚中華そば 奥倫道(おくりんどう)」。
最寄り駅の都営地下鉄・大門駅やJR浜松町駅の周辺は東京屈指のラーメン激戦区のひとつだが、エリア内のどのラーメン店にもない特徴があるのだ。
どんな特徴であるかを説明する前に、まずはメニューのラインアップを見てほしい。
看板メニューの「炭火焼濃厚中華そば」は、8種類の素材を使ったメニューをラインアップ。「鯖(サバ)」、「烏賊(イカ)」、「秋刀魚(サンマ)」、「鰯(イワシ)」、「鮭(サケ)」、「鯵(アジ)」、「栗」、「茸(マッシュルーム)」と、一見、とまどってしまいそうなラーメンも提供している。
これらの素材の共通点は「炭火焼きにするとおいしい」ということ。「奥倫道」では、それぞれの素材を丸ごと炭焼きしたのちペースト状にして、だしと合わせてラーメンスープを作っているのだ。
ベースとなるスープはアゴだしを使ったものだが、たとえば「中華そば 鯖」の場合、炭火焼きした鯖をすりつぶしてペースト状にしたものにそのアゴだしスープを加えることで、味、香り、風味ともに鯖そのものに近い味わいに仕上げている。
さらに、炭火の香ばしさまであふれているのだから非の打ち所がない。コクも風味も唯一無二で、これまでの舌の記憶をたどってなにかと比較することなどできないほどだ。
「これまでにない新しいラーメンというところで勝負したい」と話す店長の中山邦明さんに、「新ジャンルのポイントは?」と尋ねると、「業界的には『道系』と言われていますね」との答え。
「道系」とは新橋のラーメン店「倫道」、神田のラーメン店「海富道(しーふーどう)」、そして新橋「倫道」のラーメンを突き詰めて奥行きを持たせた「奥倫道」のことを指すが、店名に「道」が入ったこれらの系列3店は、ラーメンに小鉢を添えたスタイルでメニューを提供しているところも共通している。また白飯付きの「定食」も用意しているのだ。

定食メニューの中から、まずは定番の「炭火焼濃厚中華そば定食 鯖」をご紹介しよう。定食は、メインのラーメンに、「刻み玉葱(タマネギ)」「炭焼ネギ」「板海苔(ノリ)」「チャーシュー」「白飯」「海苔佃煮(のりつくだに)」、「味噌小胡瓜(キュウリ)」が添えられたぜいたくな内容。
香ばしい炭焼きネギだけでなく、チャーシューも炭火焼きされていて食欲がぐっとわき立つ。それぞれラーメンにトッピングするのはもちろん、他の小鉢ともども、白飯にのせてもいいし、好きなようにアレンジできるのが楽しい。