変わりたい組織と、成長したいビジネスパーソンをガイドする

会員登録をすると、編集者が厳選した記事やセミナー案内などをメルマガでお届けしますNIKKEIリスキリング会員登録最新情報をチェック

新しい事業に挑戦するベンチャーは、成長分野を切り拓き、雇用とイノベーションを生み出す経済活力の源泉です。低成長の日本では、何年も前からベンチャーの育成・支援が「喫緊の課題」とされてきました。「東大発ベンチャーの雄」と言われるユーグレナの出雲充社長は、マネックスグループの松本大社長やミクシィ創業者の笠原健治氏らと「東大創業者の会応援ファンド」を立ち上げ、後進の支援に力を入れています。今、大学発ベンチャーの課題はどこにあるのか、出雲氏に聞きました。

(7)相手に届かない言葉は無意味 「論語」を経営の指針に

日本で大学発ベンチャーがどのくらいあるかご存じでしょうか。答えは2905社(2020年10月時点、経済産業省調べ)。大学別でトップは323社の東京大学、2位は222社の京都大学。3位の大阪大学から8位の名古屋大までが100社台でその後は2桁にとどまります。こうしてみると「大成功」といえるレベルに達しているのは東大だけです。

みなさんの印象がどうかわかりませんが、ベンチャー育成に関して東大は過去10年で本当に変わりました。大学・学生双方の意識が大きく変わり、今、とてもいい雰囲気になっています。かつて東大生といえば、中央省庁や大企業に幹部候補生として入るのが王道でしたが、最近は優秀な学生ほど起業したり、ベンチャー企業に入ったりと進路も様変わりしました。

問題は東大とそれ以外の大学との差がどんどん開いてしまっていることです。その違いはどこにあるのか、みなさん知りたいと思うでしょう。実は私、それを発見してしまったのです。

結論から言いましょう。東大がうまく行っている理由は、「起業した人が身近にいる」からです。「ウソ、そんな単純なこと?」と思われるかもしれませんが、本当にこれだけなのです。他の職業もそうですが、自分が見たことも聞いたこともない職業になろうなんて、人は普通思わないでしょう。

起業に関する国際的な意識調査でも「あなたはなぜ起業したのですか」という質問に対し、どの国においても「身近に起業した人がいるので自分もやってみようと思った」という回答がトップになります。大もうけできそうだとか、国が税額控除してくれるとか、そういうお金のインセンティブではなく、「友達や家族に起業して楽しそうに働いている人がいる」ことが起業の最大の理由なのです。

出雲充 ユーグレナ社長

出雲充 ユーグレナ社長

新着記事

Follow Us
日経転職版日経ビジネススクールOFFICE PASSexcedo日経TEST

会員登録をすると、編集者が厳選した記事やセミナー案内などをメルマガでお届けしますNIKKEIリスキリング会員登録最新情報をチェック