答えと解説
正解(骨粗しょう症の説明として間違っているもの)は、(2)女性の病気なので、男性は気にしなくていい です。
骨粗しょう(鬆)症は、その名の通り、骨がスカスカ(粗鬆:大ざっぱで粗末なさま)になる病気です。健康な骨は、常に骨吸収(骨を壊す働き)と骨形成(骨をつくる働き)がうまくバランスをとることで維持されています。それが加齢や女性の閉経などにより骨吸収が骨形成を上回ると、骨密度が低下し骨がもろくなっていきます。
骨粗しょう症と言うと、更年期以降の女性の病気というイメージを持っている人も少なくありません。女性のほうがリスクが高いのは確かですが、男性でも80歳以上なら女性の3分の1ぐらいの頻度で発症します。そのように聞くと、「まだまだ先じゃないか」と思う人も多いでしょうが、80歳以上で骨折すれば、それきり寝たきりになってしまう場合もあります。「特に男性の場合、高齢で骨折すると、女性と比較してその後の死亡率が高い傾向があります」と鳥取大学医学部保健学科の萩野浩教授は指摘します。
759人の股関節骨折(大腿骨近位部骨折)の患者(平均年齢80歳)の生命予後(病気の経過が命に与える影響)についての臨床研究[注1]では、骨折後120日以内に亡くなった男性は女性の3.53倍に達しました。これまで男性は骨粗しょう症に対する関心が低かったのですが、これからは男性も骨粗しょう症対策を自分ごととして取り組みたいものです。萩野教授も、高齢者に生じる大腿骨近位部骨折や脊椎骨折を、それと同じようにある日突然起きて命を脅かす「脳卒中」になぞらえて「骨卒中(こつそっちゅう)」と呼び、注意喚起に取り組んでいます。
[注1]Yukiharu Hasegawa, et.al. J Orthop Sci. 2007;12:113-117.
リスクを高める喫煙、アルコールの多飲、糖尿病
大切なのは、男女を問わず加齢による骨密度(骨量)の低下に早く気づくことです。骨密度(骨量)は20歳前後をピークとしてしばらくは維持されますが、男女とも50歳前後を境に低下し続けます。萩野教授は「女性は閉経を機に急速に低下するため、40代以降に自治体などの骨密度検診を受けることが勧められていますが、男性も、リスク(危険因子)の高い人は50代のうちに、元気な人でも65~70歳で一度、骨密度の測定をしてほしい」と訴えます。
年齢による骨密度(骨量)の変化(イメージ図)
