オンライン診療から広がる チーム医療のベネフィットHDCアトラスクリニック院長 鈴木吉彦

DX(デジタルトランスフォーメーション)の時代、医療はどう変わっていくのか。生活習慣病の代表格ともされる糖尿病の専門医で、1990年代後半~2000年にかけて医療情報ポータルサイト(MediPro/MyMedipro)を立ち上げるなど、デジタル領域についても豊富な知見を持つ鈴木吉彦医師(HDCアトラスクリニック院長)に医療とデジタルの新時代について語ってもらいます。 

米アップルは将来ヘルステック企業になると宣言し、グーグルやアマゾン、マイクロソフトやメタも、それを追随しています。そうした潮流のもとで、たくさんの「ベネフィット」を与えうるシステムを考えています。本稿では、その基本コンセプトを「チーム医療」という観点から解説します。

より勉強熱心な医師とマッチングできる

患者さんは「たくさん学んでいる医師から診察や治療をうけたい」という理念がベースにあります。すると以下のような仕組みの構築が考えられます。

医師は「リモート学習」している「リモート医師」であると仮定し医師が製薬企業から提示される動画や新商品の解説を受けたとき、その時間や学習度によって、より「学習度が高い医師」のポジショニングを得ることができます。

そのデータによって、どの医師が勉学している医師かを数量化できます。新薬の内容を勉学している医師は、勉強していない医師より優れた医師と定義します。特に特定の新薬を勉強している医師は、新薬について詳しい医師と定義します。

上記のポジショニングを数量化し、位置や距離を関係なくして、患者は、より勉強熱心な医師を選択することができます。

検索の最適化は、医師の優秀度において、患者さんにマッチングさせていきます。その時の患者さん側のベネフィットは大きいと考えます。

下の図1に示すように、私たちが提供しているプラットフォーム(MyMedipro.jp)は、医師と患者だけでなく、ナースや検査技師や受付担当者も、同一画面に入り込めます。こうした「チーム医療」をベースに考案した「オンライン診療」システムは、日本では最初の試みでしょう。

患者さんたちは、医師だけでなく、ナースからも指導を受けることができ、受付担当者からも決済の説明を受けることができます。ですから、優秀な医師の周りにいるスタッフからも支援を受けることができるので、手厚い臨床サポートを受けられます。医師側も、ナースや受付担当者が、ある患者と話をしている間に、別の患者と話ができるので、時間的な効率の改善につながります。

図1
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看護師や他の医療従事者にも学習機会