オンライン医療 最適な独自のプラットフォームとはHDCアトラスクリニック院長 鈴木吉彦

イラストはイメージ=PIXTA
DX(デジタルトランスフォーメーション)の時代、医療はどう変わっていくのか。生活習慣病の代表格ともされる糖尿病の専門医で、1990年代後半~2000年にかけて医療情報ポータルサイト(MediPro/MyMedipro)を立ち上げるなど、デジタル領域についても豊富な知見を持つ鈴木吉彦医師(HDCアトラスクリニック院長)に医療とデジタルの新時代について語ってもらいます。

日本では医師不足時代があり、「距離基準」といって既存開業医がいると一定距離をおかないと開業できないという「規制」がありました。

その後、各県に1医大ができるようになると「規制撤廃」「ディレギュレーション」が起こりました。専門性が高まり各専門分野を得意とする開業医が1カ所に集まり近隣にいたほうが便利という時代になりました。病院と開業医との格差を「医療モール」という形で解決する試みが起こりました。

英国には「かかりつけ医」を決めるという患者側の義務があるのですが、日本は患者が医師を選択するのは「フリーアクセス」です。それもあってか、近年、開業医の年齢は40歳代から30歳代に若くなりました。ネットで集客できるスキルを持つ若手医師のほうが新規患者を集客しやすいようです。「Google(グーグル)の上に開業する」という台詞を豪語する医師がでてきました。「Googleで見つかりすればいい。医師の質はもはや関係ない」という発言には驚愕を隠せません。

参入規制があると喜ぶのは地域密着型だった長老医師たちで、困るのは新規参入を狙う若手開業医たちです。しかしGoogleができたことで規制は撤廃され、「フリーアクセス」なのですから、立場は「逆転」しているようです。

開業するとき、意識するのが競合となる医師がどこで開業しているかです。Googleマップで「糖尿病専門医」と入力するとたくさんの医療施設が表示されます。あまり近所に糖尿病専門医がいると、私の競合になります。開業コンサルと呼ばれる人たちは独自のソフトを武器に若手医師の開業に力を貸すという時代もありました。

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検索されやすい医師が有利に