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中国古典の兵法書『孫子』から、現代の企業経営の本質を学ぶ試みはこれまでにもあった。歴史に名だたる戦略には現在に通じる競争戦略の要諦が潜んでいるためだ。本書『戦略は歴史から学べ 3000年が教える勝者の絶対ルール』は、経営コンサルタントの著者が、三国志の諸葛孔明や、モンゴル帝国を打ち立てたチンギス・ハン、戦国時代の徳川家康、ナポレオン、中国の毛沢東といった古今東西の戦略家32人を取り上げ、その歴史をひもとき、現代のビジネス戦略、企業経営に生かしてもらおうとの狙いで書かれている。ビジネス・企業経営と、歴史を同時に学べる書籍として、次代の経営の担い手である「若手リーダー」にもぜひ一読をお薦めしたい。

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著者の鈴木博毅氏

著者の鈴木博毅氏

著者の鈴木博毅氏は、経営コンサルティング会社、MPS Consulting代表。慶応義塾大学総合政策学部を卒業後、貿易商社に入社し、その後、日系コンサルティング会社を経て独立しました。主な著書に、旧日本軍の失敗を通じてその教訓を学ぶ名著について解説した『「超」入門 失敗の本質』のほか、『戦略の教室』『戦略図鑑』などがあります。本書は2016年に刊行された同名の書籍(ダイヤモンド社)をもとに新たに加筆し、文庫化(日経ビジネス人文庫)したものになります。

戦史から学ぶ、企業経営の極意

本書は全体で9章で構成されています。古代ギリシャから、1990年代の湾岸戦争に至るまで、洋の東西を問わず歴史に名を残した32人の戦略家の功績を振り返るとともに、そこから現代のビジネス、企業経営に通じる戦略を掘り起こそうという趣旨で執筆されています。各章では、例えば、ガリア戦記で知られるカエサル、中国・三国志時代に蜀を建国した劉備の軍師・諸葛孔明、日本の戦国時代に活躍した織田信長や徳川家康、さらに時代を現代に進め、ナポレオンや毛沢東、イラクによるクウェート侵攻が引き金となって起きた湾岸戦争の時の米国の指揮官、コリン・パウエルまで、その活動を、それぞれ数ページのエッセンスで記述し、ビジネスのヒントを探っています。

全体を通読すると、いわゆる世界史の「偉人」の功績を改めて振り返ることができますが、関心を引いた人物の項目を好きに取り出して読むことも良いでしょう。いずれも、自らの置かれた環境を的確に認識し、問題意識を常に研ぎ澄まし、対策を打って成功をもたらした戦略家ばかり。その考え方に迫ることで、今日の企業経営のヒントをみつけようというものです。

歴史から学ぶ戦略は、時代を超えた強烈な普遍性を持っています。ミもフタもないことをいえば、戦史は人間の血と涙、悲喜で描かれています。きれいごとではなく、あらゆる時代の人間や組織が生死をかけて実証した法則集です。
そこには、策略、奸計、組織運営、技術革新、リーダーシップ、人心掌握術、競争戦略、ゲリラ戦など、人と組織が勝つためのあらゆる知略が総動員されています。多くの人間が自分の命をかけて可否を確かめた法則集が、歴史から学ぶ戦略なのです。
また歴史は、高度に発達した文明が必ずしも生き残るわけではないことも教えています。これはビジネスでも同様です。
栄華を誇る大国が、辺境の小国に敗れる様子は、大企業がベンチャー企業に負ける姿に重なります。単純な物量、国力、技術、人種の差異とは違うところで歴史は勝者と敗者を決めています。だからこそ、歴史に逆転劇は珍しくありません。今は弱くとも、視点や認識を変えて戦略を生み出せれば、大逆転も十分可能なのです。
(はじめに 7~8ページ)
偉大な戦略家はその軍略を歴史から学ぶ

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