インターネット業界でもデジタル人材のニーズが過熱

コロナ禍において、他業界に比べると採用が早々に復活したインターネット業界でも、採用活動は非常に活発です。後押しとなっているのは、事業会社による「SaaS」関連事業の伸びです。これまではユーザーの集客・獲得に力が注がれていましたが、今では「そこからどうつながり続けるか」が焦点になりました。顧客体験(カスタマーエクスペリエンス)の強化に向けた採用が進んでいます。

ニーズが高い職種としては、ウェブマーケティングやデジタルマーケティング、データサイエンティスト、 データエンジニア、データコンサルタントなど。これらの職種は人材争奪戦が激しいため、企業が求職者の求める働き方を整備する動きも見られます。例えば、「フルリモート勤務」「ワーケーション」など、柔軟な働き方が可能な制度の導入です。

なお、インターネット業界には成長スピードが速い企業が多く、新規株式公開(IPO)も活発。予定していたIPOがコロナ禍の影響で延期となった企業もあり、21年以降のIPOを目指しています。これに伴い、財務・管理会計・IR(投資家向け広報)など管理部門系の採用を強化する動きも見られています。

■求職者のキャリア観が変化 「終身成長」への志向が高まる

求職者側に目を向けてみましょう。コロナ禍において、多くの人が自身のキャリア、さらにはライフスタイル、人生を見つめ直しました。そして、転職先を選ぶ際の重視項目を変え、生き方・働き方に根差した転職活動を始めています。

転職エージェントに対しては、「フルリモート勤務ができる求人を探している」という相談がよく寄せられるようになりました。また、コロナ禍以前に比べ、「プライベートと仕事の両立をしたい」「家族との時間を大切にしたい」という志向を語る人が明らかに増えています。

このほか、コロナ禍の影響で、現職の事業の先行きや経営陣の判断能力に不安を感じ、転職を希望するケースもみられます。コロナ禍での急激な変化を目の当たりにして危機感を抱いた人たちは、自身のキャリアの幅を広げるために動き始めました。異業界への「越境転職」や、知名度は低いものの成長性がある企業への応募が増えているのも、最近の特徴と言えます。

こうしたキャリア構築やワークライフバランスへの意識の高まりに伴い、副業・兼業へ向かう人も増えています。「本業では得られない経験を副業で積み、キャリアを磨きたい」「副業・兼業で多様なスキルを身に付け、将来、仕事を失うリスクに備えたい」「自分がやりたい仕事を、好きな時間・好きな場所で自由にやりたい」といった声が聞こえてきます。

今、個人が希求するのは「終身雇用」でなく「終身成長」。そんな変化の時代にあって、個人に選ばれるのはどのような企業なのでしょうか。企業に投げかけたい問いが7つあります。

1)この世界で何を実現したいのか?パーパスは?

2)コロナ禍でどんな経営変革や人事変革をした?

3)終身雇用より終身成長に資する機会はあるか?

4)中途入社者が活躍する自由裁量と支援風土は?

5)社外での能力開発の機会、兼業・副業の容認は?

6)テレワークや在宅勤務など、働き方の改革は?

7)多様な才能開花を経営に変える思想と実践は?

この7つの問いに明確に答えられるかどうか。それが、企業の人材採用力、ひいては成長力を左右すると言えそうです。

藤井薫
藤井薫
 リクルート HR統括編集長。1988年リクルート入社以来、人材事業のメディアプロデュースに従事。「TECH B-ing」編集長、「Tech総研」編集長、「アントレ」編集長、リクルートワークス研究所Works編集部を歴任。著書に『働く喜び 未来のかたち』。

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