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部下に仕事をうまく振れず、「過緊張」から夜眠れない

こころの相談室

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NIKKEI STYLE

日経Gooday(グッデイ)

働く人のストレス状況はますます深刻になっています。コロナ禍で働き方が多様になったものの、社員が孤立し、一人で多くの仕事を抱えてメンタル不調に陥ることもあります。働く人のメンタルヘルスに関連した「お悩み」について産業医が回答する本連載。今回は精神科医・産業医の奥田弘美先生が、「リモートワークのせいで部下のマネジメントがうまくいかず、次第に眠れなくなった」というケースについてお話しします。

今回の「お悩み」

部下を持ったらストレスから眠れなくなってきた

 40代女性です。今年の4月からあるプロジェクトのグループリーダーに任命され、数人の部下を持つようになりました。
 当初は張り切っていたのですが、チームは初めて一緒に仕事をするメンバーがほとんどで、リモートワークが中心のせいか意思疎通がなかなかうまくいかず、プロジェクトの進捗が思わしくありません。
 遠慮しがちな自分の性格もあるのですが、部下に仕事をうまく振ることができず、つい自分でやってしまうため、夜10時を超えて残業する日が増えました。また仕事を終えてからも、寝るまでずっと頭の中で仕事のことを考えており、最近は寝つきも悪くなりがちです。
 仕事の夢を見ては夜に数回目が覚めてしまうことが増え、そんな日は朝目が覚めても体の疲れが抜けず、頭もスッキリしません。
 先日も部下とのウェブミーティングで、顔出しもせず何も発言しようとしない部下に対してイライラして、ついキツイ言い方をしてしまい、あとから自己嫌悪に襲われて涙が出てきました。
 それを見ていた同居のパートナーからも「最近、気分のアップダウンが激しいんじゃない? 眠れない日もあるようだし、一度メンタルクリニックに行ってみたら?」と言われてしまいました。
 確かに以前ほど仕事が楽しくなくなってきて、つらさを感じることが増えてはいますが、やる気が全くないというわけではありません。メンタルクリニックに行ったほうがよいのでしょうか?

※取材などを基に得た情報から創作した「お悩み」です

交感神経の緊張が続くと、心身に悪影響が出る

仕事上の責任や仕事量が増えて、次第に仕事のことが頭から離れなくなり、睡眠に影響が出たり、気分の変動が激しくなったり……。これは典型的な「過緊張」の状態だと思われます。

過緊張とは、正確に言うと「自律神経のうち、交感神経[注1]の過度の緊張が続いている状態」です。ストレスによって交感神経が過度に興奮してしまい、リラックスをつかさどる副交感神経の働きが弱まるために、精神面や身体面に様々な症状が出現してきます。

[注1]体の機能を調整する自律神経のうち、血圧を上げて体を活動的にするのが「交感神経」、体をリラックスさせるのが「副交感神経」

ストレスが解消されず、適切な対処がなされないと、だいたい次のような段階で悪化していき、仕事や生活に影響が出てきます。そして最終的には「自律神経失調症」や「抑うつ状態」、「適応障害」などと診断されるケースも少なくありません。

ストレスから過緊張が悪化していく段階

(1)仕事のことを頻繁に考えてしまい、プライベートの時間を楽しんだりリラックスしたりできなくなってくる。
(2)夜寝るときにも仕事が頭から離れず、寝つきが悪くなったり、寝ついても仕事の夢を見て途中で目覚めたり、早朝に目覚めて眠れなくなったりするなど、睡眠障害の症状が出てくる。
(3)睡眠障害が頻繁に起こるようになり、十分に睡眠で休息がとれなくなる。朝起きても疲れがとれず倦怠(けんたい)感が強くなる。
(4)体がだるく頭がすっきりしないため、感情の制御がうまくいかなくなり、イライラしたり落ち込んだりアップダウンが激しくなっていく。集中力に影響が出てきて、ケアレスミスが発生しやすくなる。
(5)十分に休めず疲労が蓄積するため、体調不良も出てくる。肩こりや首こりを感じやすくなり頭痛が出やすくなる、胃もたれによる食欲低下、便秘や下痢、腹痛などの消化器系の不調が出てくる場合も多い。めまい感や動悸(どうき)、息苦しさ、原因不明の身体の痛みなどを感じる人もいる。
(6)上記のような睡眠障害や、心身の不調が悪化していくため、仕事に対する意欲・集中力が失われたり、人間関係が悪化したりして、憂鬱な気分にさいなまれるようになる。

全ての人がこの順番通りに進行するわけではありませんが、過緊張状態を放置していると、睡眠障害に加えて、(4)(5)(6)あたりの症状が出て心療内科や精神科を受診し、何らかの診断が付く場合が多いように思います。

今回のお悩み相談は、まさに(3)の睡眠障害と、(4)の感情のアップダウンが激しくなる症状が出ていますね。

ストレスから眠れなくなる日が続けば医師に相談を

もし寝つきが悪くなる「入眠障害」や、夜中に何度も起きて熟睡できなくなる「中途覚醒」の症状が、週に約2回以上あるようならば、心療内科か精神科で相談したほうがよいでしょう[注2]

一般的に、働く人が心身の疲れをとるためには、最低でも6時間以上の連続した睡眠が必要とされています(理想は7~8時間の連続睡眠)。

途中で何度も目覚めているということは、深い睡眠がとれず、心身のメンテナンスが完了しないまま起床し、脳や体に疲れを蓄積させてしまっていることになります。

この状態を放置するのは危険であり、仕事上のストレスが劇的に改善されない限り、心身の症状はどんどん悪化して進んでいきます。

集中力が落ちて大きなミスに発展したり、感情の制御ができず人間関係のトラブルが勃発したりして、本格的なうつ状態になってしまう人もいます。また、体調不良が続いて仕事ができなくなる人もいます。

このような負のスパイラルに陥らないためにも、睡眠障害が頻繁になってきた段階で、心療内科や精神科を思い切って受診したほうがよいでしょう。

もし心療内科や精神科の敷居が高いと思うようであれば、まずは内科でも構いません。ぐっすりと深く眠れる方法を医師に相談してみましょう。

[注2]厳密には、心療内科はストレスなどが要因で体に現れる症状を扱い、精神科はうつや統合失調症など心の病気を扱う。しかし町のクリニックでは、精神科医が便宜上、心療内科も標榜していることが多い

仕事の量・質・環境を調整しなければ抜本的な解決にならない

医師に相談するのと併せて、上司にも不調が生じていることを打ち明けて、相談することが大切です。現在の仕事のストレスを緩和しなければ、根本的な解決にはならないためです。

リモートワークで部下とのコミュニケーションがうまくいかないことや、仕事の割り振りがうまくできずに抱え込んでしまっていることなどを相談し、適切な助言を受けたり、仕事量の軽減などを検討してもらう必要があります。

過緊張は仕事の質や量がその人のキャパを逸脱しているために発生する、交感神経系の過度な緊張です。そのため、仕事の質や量に関する問題を改善しないと、医療機関でいくら治療をしても根本的に治癒しません。

まずは、当面の間、残業を極力しなくてもよいように仕事量を軽減してもらったり、負担となっている責任の一部を免除してもらったり、ストレス源となっている人間関係を調整してもらうなどの、対策が不可欠なのです。

もし会社に産業医や保健師、衛生管理者などの衛生管理スタッフがいるならば、そちらにもぜひ相談してください。精神科医や保健師は、労働者の心身の不調の相談を受けて、管理者側に仕事量や人間関係の適切な調整・助言を行うプロフェッショナルです。衛生管理者も労働者の心身の健康に関する知識を持っていますので、ぜひ活用してください。

ストレスを緩和するセルフケアも有効

もし、相談者さんの睡眠障害が頻繁に起こる状況ではなく、月に数回だけというレベルであり、感情が不安定になる症状も常態化していないのであれば、上司や衛生管理スタッフに相談したうえで、自分自身で交感神経の緊張を緩めてリラックスできるような時間を増やすことを意識しながら、様子を見てもよいでしょう。

筆者は過緊張の症状が出てきた社員には、産業医として次のようなセルフケアをアドバイスしています。

ストレスを緩和するセルフケア

●ONとOFFのけじめをしっかりつけて、緊張を緩和する時間を確保する必要があるため、仕事が終わったあとは、仕事に関することに一切触れない。パソコンやスマホ、資料などが気になっても見ない。時間外のメールや電話には、基本的に対応しない。
 もし時間外に突発的な連絡が入ってくる場合は、上司に相談して改善してもらう。休日や時間外の突発的な仕事の対応は、確実に過緊張症状を悪化させる。
●リモートワークでは、ONとOFFのけじめがつけにくいため、仕事が終わったらパソコンから離れて、外に散歩に行く。もしくは、ジョギングやサイクリング、ヨガなど、軽めのスポーツで体をほどよく動かして、意識的にOFFに切り替える。
●過緊張のときは消化器系が弱っていることが多いので、油の量を控えたバランスの良い食事メニューを選び、できるだけゆったりと食事時間を楽しむ。
 あまり食欲がないときも、心身の疲労を悪化させないために食事をスキップしない。特に夏場は、そうめんやそば、スイーツなどの簡単なもので済ませがちになるが、できるだけ栄養のあるものを食べる。例えば、卵料理(つるっと飲み込める温泉卵もお勧め)や、豆腐、サラダチキン、白身の魚、野菜ジュース、たんぱく質やビタミンなどが入ったゼリー飲料などを活用して、栄養のバランスを極力整える。
●夜は精神的な緊張を悪化させる恐れのあるSNSやゲームなどから離れ、ゆったりと音楽を聴いたり、趣味の雑誌をパラパラ見たり、家族と団らんしたりして、できるだけリラックスを心掛ける。
●夏場の入浴は、体が温まりすぎると眠気がなかなか訪れないため、ぬるめのお湯でさっと汗を流す程度を心掛ける。
●寝室は暗く静かな環境に整え、エアコンを活用して快適な温度をキープできるように工夫する。
●休日には、自分の気の向くままに過ごせるような、時間に縛られないリラックスした過ごし方を心掛ける。
 朝から遠出するようなレジャーや、ハードなスポーツの予定を入れるのは、体の疲れを悪化させるため避けたほうがよい。また気を使う人との付き合いも控える。
 過緊張で心身が疲労しているときは、たとえ気の置けない友人や家族との遊びの予定であっても、当日「気が進まない」「行きたくない」という気分が湧き起こることもあるので、極力キャンセルできるような体制を作っておく。

以上、過緊張状態を改善するためのセルフケアを列挙してみました。

これらのセルフケアを試しても、不眠症状や倦怠感が緩和されず、メンタル面や身体面の不調の症状が悪化していく場合は、心療内科や精神科、もしくは身体症状の該当する科を受診して相談してください。

※筆者が本文で取り上げた事例は、実際にあった例から個人情報保護のため設定や内容を一部変更したものです

[日経Gooday2022年9月8日付記事を再構成]

奥田弘美氏
精神科医(精神保健指定医)・産業医(労働衛生コンサルタント)・株式会社朗らかLabo代表取締役。1992年山口大学医学部卒。精神科臨床とともに、都内約20社の産業医を兼務し、日々多数の老若男女の心身のヘルスケアを行っている。執筆活動も精力的に行っており、近著には『「会社がしんどい」をなくす本』(日経BP)、『心に折り合いをつけて うまいことやる習慣』『不安と折り合いをつけて うまいこと老いる生き方』(中村恒子氏との共著、すばる舎)などがある。

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