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体脂肪や内臓脂肪が多い人ほど認知機能が低い

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日経Gooday(グッデイ)

体脂肪や内臓脂肪が多い人ほど認知機能が低いことを示す研究結果[注1]が、カナダMcMaster大学などの研究者たちによって報告されました。

体脂肪は認知機能に直接影響を及ぼすのか?

過剰な体脂肪(皮下脂肪・内臓脂肪)は糖尿病や高血圧、脂質異常症(血中の中性脂肪やコレステロールが異常値になった状態)などのリスクを高め、心筋梗塞や脳卒中などのリスクを上昇させることが知られています。脳卒中などの脳血管障害は認知機能の低下をもたらしますが、脂肪組織そのものが認知機能に直接影響を及ぼすのかどうかは分かっていませんでした。

そこで研究者たちは、脂肪と認知機能の関係を明らかにするために、カナダとポーランドの成人を登録して行われた2件の観察研究の参加者のデータを分析することにしました。対象としたのは、心血管疾患(心筋梗塞や脳卒中など)や心不全の経験がない、30歳から75歳までの9189人で、平均年齢は57.8歳(標準偏差8.8歳)、56.4%が女性でした。

このうち9166人が、生体電気インピーダンス法により体脂肪率の評価を受けており、体脂肪率の平均は、女性が35.6%、男性が25.1%でした。また、6773人がMRI検査を受けており、MRI画像を基に計算された内臓脂肪組織(VAT)の体積の平均は、女性が61.4mL、男性は83.6mLでした。男女ともに、体脂肪率と内臓脂肪体積の相関は高いことが分かりました。

参加者を男女別に、体脂肪率が最も低い人から最も高い人まで順番に並べて4等分し、低いほうから4分の1に属する人たちを最低四分位群、その次の4分の1に属する人たちを第2四分位群、という具合に最高四分位群まで分類し、男性と女性の各群を合わせて分析しました。内臓脂肪体積についても同様の分析を行いました。

参加者の心血管疾患リスクは、高血圧や糖尿病といった危険因子の保有状況に基づくINTERHEARTリスクスコア(IHRS)を用いて評価しました。IHRSのスコア幅は0~48で、0~9は低リスク、10~16は中等度リスク、17以上は高リスクと見なします。対象者のIHRSの平均は10.7で、女性は9.5、男性は12.3でした。

また、MRI画像に高度な白質高信号域が認められた場合、または、脳梗塞病変が見られた場合は「脳血管障害あり」と判断しました。

認知機能の評価には、数字符号置換検査(DSST)とモントリオール認知評価検査(Montreal Cognitive Assessment;MoCA)を用いました(下記参照)。

数字符号置換検査(DSST):
 注意、集中、短期記憶など、複数の認知機能を必要とする操作を行わせて情報処理能力を評価する検査。スコア幅は0~133で低スコアほど認知機能は低いことを意味する。今回の参加者については、本人のDSSTスコアが全体の平均より標準偏差1つ分(1SD)を超えて低かった場合に「認知機能が低下している」と判断した。

モントリオール認知評価検査(Montreal Cognitive Assessment;MoCA):
 遅延再生、言語、視空間認知、実行機能、計算、抽象概念、注意、見当識、集中など、多領域の認知機能を評価する検査。スコア幅は0~30で、26以上なら認知機能は正常と見なされる。26未満だった場合に「認知機能が低下している」とした。

対象者の女性のDSSTスコアの平均は75.7、MoCAスコアの平均は27.1、男性のDSSTスコアの平均は68.6、MoCAスコアの平均は26.7でした。いずれも女性の方が男性よりも高い数値になっていました。

[注1]Anand SS, et al. JAMA Netw Open. 2022;5(2):e2146324.

体脂肪率が高いほど認知機能は低い 内臓脂肪体積とも関係

分析の結果、認知機能を示すDSSTスコアは、体脂肪率が高いほど低く、内臓脂肪体積が大きいほど低いことが示されました(表1)。一方、MoCAスコアについては、体脂肪率との関係は統計学的に有意でしたが、内臓脂肪体積との間には有意な関係は見られませんでした。

表1 体脂肪率・内臓脂肪体積と、心血管疾患リスク、脳血管障害、認知機能の関係

体脂肪率が高く、内臓脂肪体積が大きいグループほどIHRSが高く、RIで脳血管障害が見つかる患者の割合が高かったことから、年齢、性別、人種、学歴などに加えて、心血管疾患の危険因子、および、MRIによって検出される脳血管障害の有無など、多くの要因を考慮した多変量予測モデルを用いて分析したところ、体脂肪率や内臓脂肪体積は、認知機能低下の独立した危険因子であることが示されました。

体脂肪率が1SD(9.2%に相当)上昇するごとにDSSTスコアは0.8ポイント低下し、内臓脂肪体積が1SD(36mLに相当)上昇するごとにDSSTスコアは0.8ポイント低下していました。0.8ポイントは、加齢による認知機能低下の1年分に相当します。

また、最低四分位群と最高四分位群のDSSTスコアの差は、体脂肪率に基づく分類では2.0ポイント、内臓脂肪体積に基づく分類でも2.0ポイントになりました。これは、加齢による認知機能低下の2.8年分に相当します。

体脂肪と内臓脂肪が認知機能低下の独立した危険因子であることが明らかになった今回の研究結果は、肥満を予防する、または体脂肪を減らす戦略が、認知機能の維持に役立つ可能性を示唆しています。

[日経Gooday2022年5月26日付記事を再構成]

大西淳子
医学ジャーナリスト。筑波大学(第二学群・生物学類・医生物学専攻)卒、同大学大学院博士課程(生物科学研究科・生物物理化学専攻)修了。理学博士。公益財団法人エイズ予防財団のリサーチ・レジデントを経てフリーライター、現在に至る。研究者や医療従事者向けの専門的な記事から、科学や健康に関する一般向けの読み物まで、幅広く執筆。

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