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赤ワイン塩や焼酎塩…搾りかす生かした調味塩の魅力

魅惑のソルトワールド(59)

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NIKKEI STYLE

ハーブやスパイスをブレンドした塩は一般に「調味塩」や「シーズニングソルト」と呼ばれる。香りがあって、味付けもしっかりしているため、料理の味が一発で決まると消費者には重宝がられているようだ。昨今では変わった作り方をした調味塩が増えてきた。今回はその変わり種でかなりユニークないくつかを紹介したい。

私は塩の専門家だが、これまであまり調味塩のジャンルは追いかけずにきた。なぜなら、その種類があまりに多く、収集するにもキリがないからだった。とはいえ数年前に出合った、さかたの塩(山形県酒田市)が手がける「さかたの塩 赤ワイン塩」は印象深い。国内外のワインや山ぶどうなどで色づけした塩には出合ってきたが、赤ワイン塩はその製法や製造に至るまでの背景がおよそ他とは違う。

赤ワイン塩を開発したのは、料理人として長年働き、現在はさかたの塩社長の大川義雄さんだ。約20年前、レストランのシェフ時代に訪れたワイナリーで、大量に出るワインの絞りかすのブドウを目の当たりにした。ほぼ全量を廃棄している、と聞き、考えた。「料理なら、例えば鯛(タイ)の身は料理に、骨はだしをとるのに使う。食材を余すところなく活用するのが当たり前なので、ワインの搾りかすであるブドウの皮も何かに使えるのではないか」と。

ハーブティーを作ってみたり、チーズや豚肉を漬けてみたり。ワインの搾りかすの活用法の模索がさっそく始まる。「身体にもやさしく、素材の味を大事にした料理を作る上で塩が重要」とかねてより考えていた大川氏は、レストランの厨房でワイン塩作りにも挑戦。試行錯誤の末、ようやく彩り鮮やかで、味わいもいい赤ワイン塩が出来上がった。

商品化に向けて打診した相手が高橋充治氏だった。酒田市内で建築会社を営む傍ら、鳥海山の伏流水を含んだ海水と約1千年前の海水温泉水を元にした塩を商品化していた。実は高橋氏、住宅の建て替えなどで出る廃材を年間数百万円かけて処分していたが、その廃材を燃料に「塩作り」を始めた人物でもあった。「廃材や廃棄物をできるだけ有効活用したい」。そんな2人の想いが重なった。

ワイン塩作りにはコツがいる。大川氏はレストランを辞め、塩作りに関して高橋氏と連携し、新たに設立された「さかたの塩」の社長に就任した。地元・月山トラヤワイナリー(山形県西川町)から出る搾りかすを活用した赤ワイン塩の商品化が実現した。その後、白ワインやロゼワインにも範囲を広げ、製塩技術を応用。さらには地元の日本酒の蔵元の酒粕を活用した「さかたの塩 酒かす塩」の開発にも成功した。日本でSDGsが声高に叫ばれるようになるずっと前の話だ。

この酒かす塩の特筆すべき点は食材の残りかすを利用し、SDGsの考えにも合致しているからという理由だけではない。大川氏が地元山形だけでなく、全国の蔵元や各地の製塩事業者と連携、ご当地の塩メーカーと蔵元の酒粕を使った塩の製造に尽力しているからに他ならない。

「スノースタイル」での楽しみ方を提案

きっかけは、たまたま仕事で訪れた大分県でのことだったという。大川氏はテレビで衝撃的なニュースを目にした。コロナ禍で落ち込んだお酒の売り上げを拡大するため、大分県酒造組合の音頭で、大分県内の計38の蔵元の日本酒や焼酎をブレンドした「#OITAの麦焼酎全部まぜてみた」「#OITAの日本酒全部まぜてみた」を発売するという内容だった。大川氏はさっそく食品産業に携わる企業同士の新たな出合いを創出するプロジェクト「おおいた、食のたすき。」を通じて、同酒造組合を訪問。その場で上記2種類の酒を製造する際に出る酒粕などを活用した塩作りを提案し、試作品作りをスタートさせた。

使う塩は地元・大分で生産されている「なずなの塩」。「日本酒塩」にはこってりしたうまみのある「なずなの塩 釜焚塩」を、「焼酎塩」にはすっきりしたクリアな味わいの「なずなの塩 天日塩」を使い分けるなどこだわりを見せる。コロナ禍で落ち込んだ酒そのものの消費量も復活させたいという思いから、今回は酒そのものを活用した塩作りを実践。日本酒塩や焼酎塩の第1弾は近日中に発売予定という。

この塩を酒瓶とセットにして販売できるよう販促用の小分け袋も開発し、「スノースタイル」での楽しみ方も提案する。グラスのふちに塩をつけ、お酒と一緒に楽しむ飲み方である。同じ味わいのものを合わせると素晴らしいマリアージュが生まれる、というのが料理の鉄則。酒の搾りかすを使った塩と、その元となる酒の相性は抜群のはずだ。日本酒やカクテルは塩と一緒に楽しむスタイルもあり、消費者も受け入れやすいのではないだろうか。

ワインや日本酒、焼酎を活用することで、おいしさにもプラスの影響がある。塩はミネラル(無機質)の塊であり、他の調味料のようにうまみや香りを感じることが少ない。だが、調味塩のベースに酒類の原料が入ることで、うまみや香りがしっかりとついた塩になる。ワインなど色がついた酒を使えば、彩りも美しい塩ができ、料理を華やかに演出する。

塩づくりで弱点を強みに変える

麦焼酎の搾りかすは、酸味のある香りが特徴的だ。ワインの搾りかすもそのままでは渋く、使い道に乏しかったが、塩づくりに生かすことで、特徴ある塩になり、弱点が強みに変わる。

おすすめの使い方は、いたってシンプル。「#OITAの麦焼酎全部混ぜてみた」や「#OITAの日本酒全部混ぜてみた」であれば、鶏天や唐揚げなど地元・大分でよく食べる料理や酒と一緒に楽しむ。同じ共通点を持つ「塩」を媒介に、料理としてのまとまりが感じられ、おいしさが増す。

今回の大分県を皮切りに大川氏は今後、全国各地の酒造組合等と協働して同様の塩作りに取り組み、新たな特産品開発を進めていく方針という。パック詰めやラベル貼りなどはさかたの塩と親交の深い地元の福祉事業所に委託して行っているが、地域の雇用を生み出す意味で、塩の製造以外の部分は当該地域で行えるよう模索している。バスソルトなど食用以外のジャンルへの展開も検討中という。

使うお酒や塩の組み合わせで、調味塩は一つひとつ異なるものができる。日本では国内各地に日本酒や焼酎の蔵元があり、ワイナリーも300以上あるという。どこでも搾りかすは出る。可能性は無限大だ。47都道府県のラインアップが出そろう日が待ち遠しい。

(一般社団法人日本ソルトコーディネーター協会代表理事 青山志穂)

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