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日経 X woman

書籍『なぜ自信がない人ほど、いいリーダーになれるのか』(小早川優子著、日経BP)で取り扱ったテーマを、さらに深掘りする連載です。書籍の感想をメールで送ってくれた、あるメーカーの男性管理職Aさんと小早川さんの対話を、3回に分けて紹介します。今回は上編です。

自分の世代は上司や先輩に厳しく育てられてきたのに

自信のなさを抱えているのは男性管理職も同じだ(写真はイメージ=PIXTA)

自信のなさを抱えているのは男性管理職も同じだ(写真はイメージ=PIXTA)

日経xwomanが2021年12月に発売した『なぜ自信がない人ほど、いいリーダーになれるのか』。これまで累計2万人を指導してきた、女性管理職育成・交渉コンサルタントの小早川優子さんが、女性管理職比率や女性役員比率が上がらない理由や、女性が会社や組織の中で活躍できるようになるための対策(女性本人と企業・上司のそれぞれの立場から)などを解説しています。

「自信がないことは、決して悪いことではない」と小早川さんは言います。その背景には「社内のマイノリティー(少数派)の気持ちが分かるからこそ、多様なメンバーの意見をくみ取ることができる」「仕事相手をやり込めるのではなく、相手の立場も考えてWin-Winの関係を構築できる」「不安だからこそ、リスクを敏感に察知し、大事に至る前に対策を講じることができる」といったポイントがあります。

さて、この本を読んだ男性Aさんから届いた感想メールに「興味深く読みましたが、今の時代は、女性だけでなく男性の管理職も『自信のなさ』を抱えていると思いました」とありました。Aさんにメールで詳しい状況を尋ねました。

「私はメーカーの営業部の課長です。自分自身は『常に仕事最優先でガツガツ働いてきた昭和型の男性上司』に、今ならハラスメントと言われてもおかしくないような言葉をかけられながら育てられてきました。もちろん長時間労働も当たり前でした。

しかし、自分の部下にその教育方法は通用しません。つまり『古い』考え方の上司と、『新しい』考え方の部下に挟まれているのです。女性リーダーにもロールモデルはいないでしょうが、男性リーダーも同じ状況にあるのです」。行間からAさんの深い悩みが伝わってきました。Aさんと小早川さんの対話を上・中・下編で紹介します。

◇   ◇   ◇

Aさん 小早川さん、今日はよろしくお願いします。最初に自己紹介しますと、私は現在勤務中の会社に新卒で入社し、20年ほどたったところです。「管理職として自信がない」という意味で、この本のタイトルが僕に刺さりました。私たち世代には、管理職のロールモデルがいないのです。上司は長時間労働を是とし、「俺たちは若い頃、ほとんど寝ずに働いた」といった武勇伝を何度となく口にしますが、今の私たち世代はその古い価値観にはあまり共感できません。

私たちが若い頃は「成果が出るまで社に戻ってくるな」などと上から言われながら育てられてきましたが、自分が経験したそうした教育方法を今の部下に対しては使えません。働き方改革の影響もあり、若手にあまり負荷を掛けることができないという事情もあります。

また、どの会社も同じかもしれませんが、今の若手は、何かあると人事部に駆け込む傾向があると感じています。昔であれば、仕事をする上で何か不安に感じても、まずは直属の上司や少し上の先輩に相談したと思います。しかし、今の若手は即、人事の上層部に話を持っていってしまう。結果、人事もその話を受けざるを得なくなり、異動などが生じるわけです。これが相次ぐとあまりよくない循環が起こります。

今の時代、女性活躍が進んでいるといっても、社内で人を束ねる役割に就く人は、実際はまだ男性のほうが多い。その男性たちは今、相当悩んでいるのではないか、というのが私の問題意識です。

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