日経ウーマン

40代 家庭、仕事、介護…と多忙に。後半からは更年期が始まる

40代のTO DOリスト
□生理不順など更年期症状の兆候を感じたら、一度専門医に相談するのがベター。
□40歳から2年に1度の乳がん検診を推奨。セルフ乳房チェックも習慣に。
□代謝が落ちて太りやすく。丈夫な足腰を維持するためにも運動習慣をつける。
□食事はバランスよく。エストロゲンに似た働きをする大豆製品も適度にプラス*。

*大豆製品の成分から産生されたエクオールがエストロゲンに似た働きをする。ただし腸内にエクオール産生菌を持っているかは、個人差がある。

国の統計によると、近年、がんの罹患数は増加し続けている。部位別に見ると、女性で割合が増え続けているひとつが、乳がんだ。特に40代後半~60代後半で罹患率が大きく増加。早期発見であればあるほど、生存率が高まる乳がん。忘れずに検診に行くことや、セルフ乳房チェックを習慣にすることが大切だ。
読者全体の約7割が不調を感じており、「肩こり」や「冷え」「首こり」が上位に。40代以上の自由回答で目立ったのは「目」の悩み。スマホで目が疲れたり、視力のムラで老眼の始まりを感じているという声があった。耳鳴りやめまい、不眠で悩む人も。
TAKAO'S ADVICE
PMSから更年期症状へ最後の“揺らぎ”の時期
責任ある仕事、子育て、介護など「役割」が増える40代。日本人の閉経の中央値は50.5歳なので、閉経前後5年を指す「更年期」に、自覚のないまま突入します。40代後半からは、エストロゲンの分泌量が急減。更年期の症状が現れるものの、PMSと区別がつきにくいというのが現状です。また、代謝が落ち太りやすくなる時期。太ると体に負担がかかったり、生活習慣病につながったりするため、運動習慣をつけることが大切です。

50代 閉経前後の揺らぎが骨や血管、メンタルにも影響する

50代のTO DOリスト
□無理に体重を落とすと、筋肉まで落ちてしまうことに。適切な体重を維持する。
□閉経すると骨密度が低下しやすい。カルシウムやビタミンDの摂取、運動習慣を。
□更年期の不調改善に大切な習慣のひとつが、睡眠。1日7時間以上の睡眠を心がけて。
□閉経で喪失感を覚えるのではなく、安定した時間が来たと前向きに受け止めて。
厚生労働省の調査によると、女性に多い疾患として、「脂質異常症」「骨粗しょう症」などが挙がっている。「コレステロールはエストロゲンの材料。更年期以降はエストロゲン分泌の低下により、総コレステロール値が上がりやすい。また、骨の量も減少し、骨粗しょう症になりやすい」と高尾さん。逆に男性に多い疾患は、糖尿病、心筋梗塞、痛風など。
50代を中心に白髪やシミなど「見た目の老化」に悩む人も多い。「改善するための方法を知りたい」という声の一方で、「シミやシワを生かすメイク、白髪や薄毛を生かすヘアスタイルなど“隠す”よりも“生かす”方法を教えてほしい」といった前向きな意見もあった。
TAKAO'S ADVICE
“揺らぎ”から解放された穏やかな「低め安定期」
閉経を迎えると、女性ホルモンのアップダウンは落ち着きます。ただし、40年以上ずっと“エストロゲンがある状態”だった体は、“ない状態”に慣れていない。私たちは肌や髪で変化を感じますが、体の内側は骨密度や筋肉が落ちるなど、もっと多くの変化が起こっています。運動や食事で対策をしながら、体の変化を前向きに受け入れることも大切です。
高尾美穂さん
産婦人科専門医。「イーク表参道」副院長。医療・ヨガ・スポーツを通じ「すべての女性によりよい未来を」届ける活動を行う。女性の心と体の悩みに答える著書『心が揺れがちな時代に「私は私」で生きるには』(日経BP)好評発売中。

(写真 窪徳健作)