①リーダーは決して謙虚ではない。むしろナルシストが多い。ナルシストな方が、自分の能力を過信し主張を押し出し、集団を支配するようになる。そして厄介なことに周りの人もそんな自信過剰なナルシストにひかれてしまうのだ。
②リーダーは決して自分らしく素直なありのままの人間ではない。時々に合わせて自分の振る舞いを変え、自分を大きく見せて売り込むことができる人だ。
③リーダーは決して誠実ではない。むしろ嘘つきだ。犯罪でない限り嘘が罰せられることは少ないからだ。厄介なことに、嘘はたまに本当になる。銀行の取り付け騒ぎのように、人々が嘘を信じるとそれが真実になってしまう。どうせ罰せられないなら、リーダーは嘘をついたほうが得になってしまう。
④リーダーは信頼できない。状況が変われば、リーダーは社員を簡単に裏切るかもしれない。嘘と同じで、たとえ信頼を踏みにじっても罰せられることが少ないからだ。
⑤リーダーは思いやりを持って、部下の利益を優先したりしない。むしろ自分の身を守ることを優先する。C E Oは社員の給与はカットするが自分の給与はなかなか下げないし、好業績は自分のおかげ、悪い業績は環境や部下のせいだと思っている。
こんなリーダーを信じて、自分の会社を乗っ取られてしまった企業の創業者、職を失った人など悲しい現実が本書では紹介されている。悪いリーダーの下で生きていくためには、社員一人一人も相応の対応をしなくてはいけない。本音の指摘をするなどもってのほかだ。
本書は決してこうした悪いリーダーを是としているわけではなく、科学的なリーダーシップ評価の必要性を説いている。が、変化はすぐには訪れない。現実として悪いリーダーが出世をしてしまうことを認め、対処を考える重要性を見せてくれる。
機能するチーム作るには…
さて、冒頭の場面に戻っていただきたい。どうやらチームのメンバーが会議に前向きに対応してくれないのは仕方がない。彼(女)らは、役員まで上り詰めた強者だ。全員が理想的なリーダーシップを発揮して、本音で議論してくれると考えるのは早計である。そしてなによりも、会社員として社長まで上り詰めたあなたが、「本当にリーダーとして理想的な人物なのか」を立ち止まって考える必要がある。
あなたは本当に自分の会社を良くするために、機能するチームを作っていきたいのであろうか。そうなのであれば、会社のトップとして、リーダーシップの理想と現実の不一致を解消する努力を始めなくてはいけない。
さて、果たしてあなたは、自分の弱みを真摯にチームに共有できるだろうか。
