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写真はイメージ=PIXTA

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トップがきちんと把握しておくべきマネジメントの基本とは何か。目の前の問題解決で実績をあげ、社長に上り詰めたとき、ふと不安がよぎったり自信が持てなくなったりする瞬間が訪れるかもしれない。社長の悩みに寄り添ってきた気鋭のコンサルタントが意思決定のよりどころになる経営書を紹介する。

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「社長のおっしゃっていることはわかりますが、それはもう検討済みでして」

何かを議論しようとすると、どうも前に進まない。現状を確認しようにもはぐらかされ、会議の参加者は目を合わせてくれない。そんな中で急に「X社を買収すべきです」と自信満々で自分の意見を述べる者もいる。しかし他の役員はみんな伏し目がちで、その意見にまともに取り合うべきかが分からない。沈黙と極端な主張の間に挟まれて、誰も真実を話してくれているようには見えず、会社のかじ取りができない不安に駆られる。そんな時は安易に役員のやる気や能力を疑ってはいけない。あなたのリーダーシップの問題かもしれないからだ。

本音の議論はリーダーが弱みを見せてから始まる

どうも自分の部下が本音を語っていないかもしれないと思ったら、パトリック・レンシオーニ『あなたのチームは、機能してますか?』(伊豆原弓訳、翔泳社)を読んでみよう。小説仕立てで、リーダーがチームをどうやって組成していくかを描いている。

本書ではチームが機能不全になる理由を5つあげている。①信頼の欠如②衝突への恐怖③責任感の不足④説明責任の回避⑤結果への無関心――だ。①の信頼が全ての土台になる。信頼が欠如していると、チームのメンバーがお互いに弱みを見せられないので、保身のために本音を隠した政治的駆け引きが始まる。

本音が盛り込まれていない目標には誰も関心を持てないので、チームは目標を自分ごととして考えることがなくなる。そうなるとチームの誰かの行動が目標のために不適切だったとしても誰も指摘ができなくなる。わざわざ自分の興味関心のない問題で波風を立てたくないからだ。こうしてチームが機能しなくなっていく。

ではどうすればいいのか? 信頼の構築は、チームメンバーが互いに自身の弱みを共有するところから始まる。だが誰しも自分の弱みを共有することには慣れていない。社会人人生で本当の自分の弱みを誰かに披露した経験がある人は少ないであろう。そんな中で率先して口火を切るのはリーダーであるべきだと本書はいう。リーダーが自分の失敗や弱みを丁寧に説明することは、チームの信頼を勝ち取るプロセスの中でとても重要な点だ。

本書には会社にとってマーケティングが重要な局面において、リーダーがマーケティング担当に解雇を言い渡す場面がある。マーケティング担当は仕事にはたけていたが、周りを信頼し本音で議論をするプロセスに、最後まで参加しなかったのだ。解雇の事実を聞いて他のチームメンバーは動揺する。みんなマーケティング担当の態度に我慢をしてでも、仕事を進めなくてはいけないと思っていたためだ。

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