24歳官僚系ユーチューバー バズる広報で霞が関変える農林水産省広報室 白石優生さん

バズマフの中心的存在の白石優生さん

農林水産省の公式ユーチューブチャンネル「BUZZ MAFF(バズマフ)」の勢いが止まらない。国家公務員がユーチューバーとなって情報発信するという取り組みは「お堅い」イメージとのギャップや手作り感で話題を呼び、2020年1月の配信スタートからの総再生回数は1500万回以上に達している。そんなバズマフの中心的存在が、同省広報室の白石優生さん(24)だ。

前代未聞の広報改革 ユーチューブを「業務」に

「上司にドッキリを仕掛ける」「難しい政策をラップにして歌う」「漫才で和食の魅力を伝える」「人力で荒れ地を開拓する」――。出演者が全力で個性を発揮する動画の数々は、全て国家公務員によるものだとにわかに信じられない。コメント欄は「本気とユーモアのバランスが最高」「官僚なのに親しみやすくてすごく良い」「制度や政治が身近になる」「これからの若い人達、がんばれ」といった応援の声で埋まる。

バズマフの名前は、インターネット上で話題になることを意味する「バズる」と、農林水産省の英語表記の略称「MAFF」の組み合わせ。「農水省の情報発信は若い人にはまず見てもらえない。今、ユーチューブが流行っているみたいだから、やってみたらどうか」という江藤拓・元農林水産相の「ひらめき」から始まった。

日本の農林水産業の魅力を伝え、農水省の仕事を身近に感じてもらうことを目的に職員自らが動画の企画・撮影・編集を行う前代未聞の職員ユーチューバー計画。プロジェクトは大臣直轄とし、「業務時間の2割までは動画制作にあててもよい」「内容について上司は一切口出ししない」など異例のルールも決まった。

「日本初の官僚系ユーチューバーになりませんか?」。19年秋、プロジェクトの参加者を募るメールが全職員に向けて送信されると、これに真っ先に反応したのが当時入省1年目の白石さんだった。

鹿児島県の本土中央部に位置する姶良(あいら)市出身。祖父母が米農家で、幼い頃から田植えや稲刈りを手伝うなど農業は身近な存在だった。進学した鹿児島大学法文学部では、農業に特化した地理を専門に学んだ。生まれ育った地域に貢献したいという「地元志向」が強かったことから農水省を受験し、19年4月に熊本県の九州農政局に配属された。

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「花動画」がバズった