業界に依存しない専門性・スキルを持つ人が活躍できる

三つ目の大きな潮流として、「業界が消える」を挙げておきましょう。

一瞬のうちに業界が消えるわけではありませんが、ほぼすべての産業が日々、トランスフォーム(変容)しつつあります。名前を挙げれば、やがて空を飛ぶことが当たり前になりそうな自動車産業や、フィンテックが揺さぶり続ける金融業界。そのほかにも小売り、アパレル、飲食、メディア、建設、住宅、ホテル、レジャー、農業、教育、医療、介護など、きりがありません。ざっくりいってよければ、「~テック」と呼ばれる領域では、どこでも業界構造の変革が起きていると考えられます。

あらゆる業界が旧来のビジネスモデルから新たな構造にトランスフォームしつつある状況です。自動車や金融を見れば明らかな通り、これからは同業界内だけではなく、異領域から参入してきたゲームチェンジャーとの競合がし烈になってきます。そのとき、あなたは「何屋さん」として企業の中での役割を得ていくのか。そのイメージを具体的に持てているでしょうか。

今、転職活動中の場合でも、あるいは今後のキャリアを考えていくにも、こうした業界消滅(再編)時代には、自身の専門・スキルについては職種を軸に考えていくことが正攻法となります。管理部門系は比較的イメージしやすいと思いますが、事業系の職種は、大きくはBtoB(企業間取引)かBtoC(個人向け取引)か次第で考えてみることが入り口になりそうです。ただ、これも一概には言えず、さらに類似性を手がかりに探っていく必要があります。

先のカスタマーサクセスで言えば、提案型セールスの経験者は候補になり得るでしょう。とりわけ新規開拓型よりも顧客深耕型の経験者がフィットします。

戦略寄りのマーケティング責任者というポジションには、広告宣伝部経験者よりも、事業企画リーダー経験者のほうが適することが多いようです。戦略人事職であるHRBP(Human Resource Business Partner)の責任者として活躍する人は、人事畑よりも営業系・事業系のマネジメントで活躍してきた人が多く見られます。

今後のキャリアパスについてはイマジネーションを豊かに働かせつつ、チャレンジを恐れない態度が欠かせません。周囲の情報や各種の企業情報を収集してみて、可能性をポジティブにとらえてほしいと思います。自分だけで情報収集して考えるのには限界があるので、私たち、プロのエージェントに相談する機会もうまく活用してください。

これから10年もしないうちに、多くの産業が、現在とはかなり異なる事業形態となっているでしょう。そうした状況に身を置く次世代リーダーの皆さんの職種、業務もまた新たな専門性やスキル、強みを求められることとなります。でも、こういった変化におじけないで、むしろチャンスとしてCXを試せれば、さらなるキャリアの発展につながるはずです。

※「次世代リーダーの転職学」は金曜掲載です。この連載は3人が交代で執筆します。

井上和幸
経営者JP社長兼CEO。早大卒、リクルート入社。人材コンサルティング会社に転職後、リクルート・エックス(現リクルートエグゼクティブエージェント)のマネージングディレクターを経て、2010年に経営者JPを設立。「社長になる人の条件」(日本実業出版社)、「ずるいマネジメント」(SBクリエイティブ)など著書多数。

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