顧客体験を描き実行できる人が活躍できる

二つ目の大きな潮流は「顧客体験」です。

DXの本質は何かということがあちらこちらで議論されていますが、それは単なるデジタル化ではなく、デジタルを通じて従来のビジネスモデルから新たなビジネスモデルへと「トランスフォーム=一変させる、根本的に変える、変容させる」ことです。

では、何をトランスフォーム(変容)するのかと言えば、それは「顧客の体験価値を」です。DXとは、顧客の体験価値を改めて問い直して、より本質的なものに変えることなのです。

日本はもともと、ハードウエアが強いといわれてきました。「よい製品を作っていれば売れる」。これが通用しないことは既に広く認識されている通りです。この件の問題の一つは、これまで長らく「売っておしまい」だったこととも関係しています。売った後のサービスやケアに気を配るということが軽視されてきたところがありました。

しかし、この5、6年の間で、「売った後」の事情にはかなりの変化が起きました。私たちを取り巻くサービスは、個人として使うものも、企業で導入しているものの、かなりのものがサブスクリプション型(定額型、定期購入型)、リカーリング(継続収益)モデルと呼ばれる形態に移っています。

おかげで私たちは初期に支払うお金を大きく減らすことができるようになりました。受けた便益分だけ対価を支払えばよく、気に入らないとか、必要がなくなったという場合は、解約すればよくなり、初期購入時の金銭的リスクを減らすことができるようにもなりました。こうしたビジネスモデルは提供者側の事業拡大チャンスにつながっているわけです。

このモデルのポイントは、導入してもらっても、利用継続してもらえなければもうからないという点にあります。言葉が悪いですが、「売り切り御免」「押し込み営業」が通用しなくなった世界が到来しています。営業職においてパラダイムチェンジが起きました。

今や一般用語となったカスタマーサクセス職が代表的な新職種に挙げられます。旧来の「広告宣伝→営業→保守・アフターサービス」というセールスの流れは「マーケティング→インサイドセールス→フィールドセールス→カスタマーサクセス」へと変容。どの職務においても「どのような体験を顧客に届ければ満足してもらえるのか」を徹底的に考え、実行することが必須となっています。

ガッツのある、足で稼げる新規開拓営業、営業マネジャーが重宝されていたのはしばらく前の話。どちらかというと従来はサブの立ち位置にいた既存顧客維持・深耕型営業の経験者やアフターサービスを見てきた人へと、期待される職種が移ってきています。セールス経験者としては、新規開拓であれ既存深耕であれ、いわゆるソリューション型営業にたけた人でないと、今後の活躍は難しいのが現実です。

なかなか視点と思考、行動を転換できないのが、「顧客側から見る」という点です。「顧客体験」が最も重要なサクセスファクターになっている今、カスタマーサクセス思考で業務に取り組めれば、アフターコロナに向けた転職、転職先での成功は約束されたものとなるでしょう。

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