
水ギョーザは粉モノ感、ワンタンはおかず感を楽しむ
「オルソー」でワンタンの皮は、高級中国料理店やホテルにも卸している橋爪製麺(東京・品川)から購入し、水ギョーザの皮は店で自家製している。ワンタンの皮にはかん水が使われ、色はクリーム色でツルンとした食感が強調される。水ギョーザの皮は小麦粉と水、塩だけだ。
味を比べると、ワンタンは具がぎっしり詰まっていることもあり、肉(またはエビ)をメインに味わう感じ。対して水ギョーザはワンタンに比べると皮が厚めなので、具と皮を半々で楽しむ印象だ。こうして食べ比べてみると、水ギョーザは粉モノ感が強く、ワンタンはおかず感が強い。
「1号店とのすみ分けも考えて、最初は水ギョーザを置かなかったんです。ただ、台湾ワンタンは日本人にほとんどなじみがないこともあって、お客さんから、水ギョーザはないんですか? と聞かれることが続いて、1カ月も経たないうちにメニューに加えました」
ワンタン推しの近藤さんとしては出はなをくじかれるリクエストだったろう。しかし、台湾ワンタンの特徴をより鮮明にする意味でも、水ギョーザを取り入れてよかったのではないかと、味比べをしてみて思う。実際、両方オーダーする人も多く、店の売り上げにも貢献しているそうだ。

もう1つの看板、クラフトビールは夜の外食回数が減少傾向にあるなかで、新しい店が70席を安定的に回していくには、ワンタンのほかにもキラーコンテンツが必要だと考え導入した。クラフトビールマニアは、なじみのない土地でも、新しい店ができると足を運ぶ熱心なファンが多いというのも大きな理由だ。「今は、1割強がクラフトビール狙いで来てくれるお客さんになっています」(近藤さん)
漢字がプリントされたオリジナルのグラスは、欧米系のイメージが強いクラフトビールの中では新鮮だ。ラインアップは台湾から生で仕入れる「サンマイハニーラガー」(ハーフ650円、1パイント1280円)や文京区内で醸造される「カンパイ!鉄砲坂IPA」(ハーフ690円、1パイント1350円)などドラフト系は5種類。ハチミツが香る「サンマイハニーラガー」は口当たりが軽めで、ワンタンにとてもよく合う。「カンパイ!鉄砲坂IPA」はリッチな味わいで、ビール単体でも十分楽しめるタイプだった。

ビールは、クラフト系のほかにも日本と台湾双方のメジャーブランドのビールも置いて全方位であるのに対し、ワインは自然派のみ。ヴァン・ナチュールファンの人だまりに訴求するため、あえて絞り込んでいるようだ。