
客足が安定しづらい新型コロナウイルス禍にオープンしながら、着々と集客を増やしている店がある。2021年2月にオープンした「also(オルソー)」(東京・文京)だ。東京メトロ有楽町線の江戸川橋駅近くにある台湾ストリートフードの店「フジ コミュニケーション」(参考記事:台湾古来のスパイスでやみつきの味 東京・江戸川橋)が台湾ワンタンとクラフトビールをコンセプトに開いた2軒目で、店は都営地下鉄三田線の白山駅近くにある。
ワンタンというと、小さな具を包んだ生地が麺の上やスープにひらひらと浮かんでいるイメージが強いが、この店のワンタンはぎっしりと中身が詰まって皮がはちきれんばかりにぷりぷりしている。日本では、ここ数年台湾ブームが続いていたが、ほとんど話題になっていなかったアイテムだ。

「台湾では水ギョーザ以上にポピュラーなのがワンタンで、地元の人もワンタンのほうが好きだという話を聞いて、いつかやりたいと思ってたんです」
そう話すのは、代表の近藤喬哉さん。1軒目の「フジ コミュニケーション」では、水ギョーザを入り口にカジュアルに楽しめる台湾のストリートフードを展開してきた。水ギョーザから始めたのは、もともと料理人ではなかったこともあり、素人でも短期間に習得できて、週1ペースで食べるもの、さらに競合店が少ないアイテムを探るなかで絞り込んだアイテムだったからだ。
「カレーやラーメンは飽和状態、ギョーザも焼きギョーザになると、すでに皆さん好みの店があって競合も多い。そのなかで水ギョーザは比較的まだブルーオーシャンでした。ちょっとおいしいものが作れたら、自分にもチャンスがあるんじゃないか、と。水ギョーザを調べていたら大陸系、台湾系と地域性もあることが分かって、ちょうど台湾ブームだったこともあり、台湾と水ギョーザで始めることにしたんです」

台湾の人たちがワンタン好きだということを知ってから、改めて日本のワンタン事情を見てみると、水ギョーザ以上に競合相手のいないブルーオーシャンであることに気がついた。ワンタンのレシピは1軒目を開く直前、3泊4日で訪れた台湾の味の記憶を思い出しながら再現したそうだ。
さて、筆者は注文にあたり少し戸惑った。ワンタンは水ギョーザと同様にゆでるタイプなので、具がいっぱい入ると見かけが水ギョーザにとてもよく似てくる。メニューには水ギョーザもあったので、自身の混乱を整理するために、両方注文した。