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デジタル化や人工知能(AI)の活用が進む中、仕事で必要とされるスキルが大幅に変わったり、今までにない職種が新しく生まれたりしています。この連載では、注目の職種や新しい職種について、現場で活躍している人に取材。どんなスキルが必要なのか、どうすれば身につくのかを探り、関連するスキルも解説します。初回で取り上げるのは、営業の分業化が進む中で生まれた新職種「カスタマーサクセス」です。

<記事のポイント>
・カスタマーサクセスの仕事はデータ利活用が醍醐味
・重要なスキルは「問題解決」
・プロダクトマネジャーやコンサルタントなど多様なキャリアの可能性

カスタマーサクセスが注目される背景 

従来、日本では顧客リストの作成からアポの獲得、提案、商談、受注、導入後のアフターケアまで全てのプロセスを営業が担うのが一般的でした。一方、アメリカでは顧客情報管理のセールスフォースが提唱した、営業プロセスを「マーケティング」「インサイドセールス」「フィールドセールス」「カスタマーサクセス」の4つに切り分ける「The Model(ザ・モデル)」と呼ばれる概念が、2000年代から急速に広がりました。

ザ・モデル型の分業では、まずマーケティングが自社サイトへの来訪者など潜在顧客を増やし、インサイドセールスが電話やメールで潜在顧客にコンタクト。商談化する可能性が高い見込み顧客をフィールドセールスにつなぎます。フィールドセールスが商談を進めて成約した後、顧客が製品・サービスを利用し、ビジネスを成功させるのを支援するのがカスタマーサクセスです。

パーソルキャリアの調査によると、カスタマーサクセスの求人数は19年からの3年間で約12倍に急増しています。その背景には、クラウド経由でソフトウエアを提供して利用料を得るSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)の台頭があります。SaaSの主流となっているサブスクリプション(定額課金)型のサービスでは、一度売って終わりではなく、継続して使い続けてもらう必要があります。そのため、不満や要望を能動的に聞き出し、解決しながら顧客に伴走するカスタマーサクセスの役割が重視されるようになっているのです。

実際の現場ではどんな業務で、どんなスキルセットが必要なのでしょうか? クラウド会計ソフトなどを提供するマネーフォワードのビジネスカンパニー クラウド経費本部カスタマーサクセス部部長の辻吏香さんに聞きました。

カスタマーサクセスの醍醐味はデータ活用

私は前職で、財務会計や人事のシステムなどを開発・販売・保守を行う会社で保守のコンサルタントをしていました。カスタマーサクセスも成約後のお客さまを相手にするという意味では近いのですが、何が一番違うかといえば、データを徹底的に利活用する点です。そこがカスタマーサクセスの仕事の醍醐味でもあると思います。

カスタマーサクセスは分析アナリスト的なスキルが求められる仕事、と語る辻さん(撮影=山田麻那美)

カスタマーサクセスは分析アナリスト的なスキルが求められる仕事、と語る辻さん(撮影=山田麻那美)

例えばお客さまのログイン頻度のデータを集め、もっと使ってもらうためにはどういう機能があればよいのかを考えたり、数字が低い場合は「チャーン(churn:解約)」されるかもしれないと予測して、それを防ぐ手立てを先回りして考えたりします。分析アナリスト的な能力・スキルが求められる仕事だとも言えるでしょう。

カスタマーサポートとの違いは何かと言うと、カスタマーサポートはなんらかの課題が発生した後に、お客さまからの問い合わせを受けて解決策を提示していく、どちらかというと受け身な立場ですが、カスタマーサクセスはもっと能動的に関わります。お客さまと絶妙な距離感で併走しながら、目の前に石が転がっていればさっと取り除いたり、「あの山に登りたい」と言われれば、同じ目線に立ってどうすれば登れるかを考えます。

私がカスタマーサクセスに必要なスキルだと考えるのは以下の5つです。

問題解決
アクティブリスニング
③共感
チームワーク
データ分析

(※それぞれクリックすると、各スキルの初歩を学べる別記事に飛びます。順次追加していきます)

各スキルがなぜ必要なのか、どんな場面で使うのか、具体的に見ていきましょう。

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