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人工心臓開発に挑むスーパー中学生の張さん

人工心臓開発に挑むスーパー中学生の張さん

ソフトバンクグループ会長兼社長の孫正義さんが資金を供出し、優秀な若者などの研究活動などを支援する公益財団法人の孫正義育英財団。2022年11月末に財団のメンバーによる活動報告会が開かれたが、孫さんらを仰天させたスーパー中学生がいた。人工心臓の研究開発に挑む富山大学附属中学1年生の張契洙さんだ。都内の大学や企業に何度も「出張」し、多くの大人を刺激しながら、研究活動に取り組んでいる。

「すごいね。本当に中1?」

オンラインを介して張さんが右心用補助人工心臓の開発を目指した研究活動のプレゼンテーションを始めると、あちこちから驚きの声が上がった。この報告会には孫さんのほかに、ノーベル生理学・医学賞受賞者の山中伸弥・京都大学教授や東京大学の五神真・前総長らが出席。国内外の異才7人のプレゼンの中で、人一倍どよめき起こったのが張さんの研究内容だった。

小3で人工心臓に興味、親は「まだ早い」

人間のもっとも大切な臓器といわれる心臓。重症心不全に陥った場合、心臓移植が必要となるが、国内のドナー数は圧倒的に少なく、9割以上が補助人工心臓で命をつないでいる。ただ、右心用の補助人工心臓はまだ世界では実用化されていない。従来の補助人工心臓も様々な制約がある。不具合が起こらず、半永久的に動き続ける「完全人工心臓」は夢の人工臓器と呼ばれ、世界中の研究者が挑んできた。

張さんが人工心臓に興味を覚えたのは小学校3年生で手塚治虫の「世界の歴史」という漫画を読んだ時だ。母親に「人工心臓の研究をやりたい」と協力を要請したら、「いや、まだ早い」と拒否された。漫画を読んで面白いと思う小学生ならいくらでもいるだろう。しかし、張さんの場合、次々文献をあさりだし、実験装置も自分で作ってしまう。宇宙から帰還した小惑星探査機「はやぶさ」にも触発され、小2の時には自分でパラシュートをデザインして制作した。おカネも少しかかり、親の協力が不可欠なのだ。

張さんは「文献を読んで、自分でもやってみようと、考察して予測して勝手にやってきた」と笑うが、この後も宇宙や太陽光関連の実験装置などを次々制作、数多くの児童科学コンテストで表彰された。しかし、あくまで目標は人工心臓の研究、小5の頃から金沢大学などの「ジュニアドクター育成塾」に参加、ついに小6の時に研究をスタートした。

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