そういう自分が好きな研究分野について好き勝手に話して去ってゆく先生たちと毎日接するので、生徒も一つのことを異常に究めるって楽しそうだなとか、好きなことだけやって生きる道もありなんだと思えてくる。「みんな好きなことを、とことんやりなよ」という空気が学校全体にあるのが良かったし、大学の授業とかアカデミアの世界を、高校生の段階である程度体感できたのも良かったですね。

僕がいま投資先を見る基準は、その起業家が熱を持っているかどうか。自分の事業が純粋に好きで、努力しているという自覚がないくらい熱中しているかどうかです。そういう人に魅力と可能性を感じ、自分自身もそうありたいと思うのは、やはり慶応志木高で出会った先生や仲間の影響も大きいと思います。

もう一つこの学校のいいところは、めちゃくちゃオタクな奴と、めちゃくちゃサッカーに熱中しているような奴が、普通に仲が良かったりするところです。好きなことをやっている者同士、互いに認め合う風土がある。そんな中で僕自身はボートに熱中していました。当初は中学の延長で陸上部に入ろうと思ったんですが、部員が5人しかいないと知って強豪だったボート部にくら替えしたんです。強いといってもボートはマイナーなスポーツなので県大会で2、3回勝つとすぐ全国大会に行けるのですが、とにかく勝つことが好きだった僕にはすごくいい部活で、週5日、戸田の漕艇場に通って大学生たちと練習に明け暮れていました。

高校の授業では社会学に興味を持ったが、大学は経済学部へ進む。

社会学も面白そうだと思ったし、ちょうど看護医療学部ができて1年目だったのでそこもいいなと思ったんですが、SFCは遠いし、僕は基本的に日和るタイプなので、なんだかんだ安定的な経済学部にしようと。

でも、そもそも高校で全然数学を勉強していないので、記憶があるのはマクロ経済学の45度線モデルをやったところまで。それ以降はまったく何も覚えていません。だからゼミは経済学ではなく文化人類学に近いゼミに入りました。とにかく数学をやらなくていいゼミを探していたら、経済学部の教授にインドネシア研究の第一人者として有名な倉沢愛子先生がいらして、ゼミ生をインドネシアのフィールドリサーチに連れて行ってくれると知って飛びつきました。中学の頃に遠藤周作の『深い河』を読んで以来、インドとか東南アジアのカオス的な文化にもすごく興味があったので、このゼミしかないだろうと。

インドネシアには2回現地調査に行って、庶民の生活を体験しましたが、まだ急激に経済成長する前のインドネシアを見ることができたのはとても貴重な体験でしたね。VCの仕事を始めてからインドネシアの企業にも投資していますから、結果的にはつながったのかな思います。

後半では大学時代にVCに興味を持ったきっかけや、リクルートへの就職、独立の経緯や、いまの僕の活動につながるいろいろな出会いについてお話しします。

(ライター 石臥薫子)

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