開成は中高一貫の進学校だが、高校からも約100人が入学してくる。このうち約3割は外国での長期滞在経験があるという。東京私立の「男子御三家」の開成、麻布、武蔵の中で高校からの入学が可能なのは開成だけで、小中学校時代を海外で過ごした優秀な生徒が集まりやすい。実は開成側もグローバル人材の育成に向け体制を整備している。

希望者にはネーティブ教員の英語授業

前任の校長だった柳沢幸雄氏と野水校長は開成、東大、ハーバード大の先輩・後輩の間柄だ。柳沢氏はハーバード大時代に教授として「ベストティーチャー」にも度々選ばれた。開成校長としても「東大ばかりが大学じゃない。海外大学にも目を向けよう」と生徒や保護者に訴えた。20年3月に退任する際、「海外大への進学者数はついに10人。2桁台に増えた」とうれしそうに語っていた。野水校長も名古屋大時代に国際交流に長く携わり、「多くの学生の留学を支援した。先輩の柳沢さんから私に託されたミッションは世界で活躍できる人材の育成だと自覚している」と話す。

創立150周年を記念して建てられた新校舎は9月から運用開始

創立150周年を記念して建てられた新校舎。施設の下部には大型体育館。上層部には中庭のある教室や小ホールも新設し、9月から運用を開始した。最上階の1室では1人の外国人教員がわずか2人の生徒と英会話学習を繰り広げていた。10年ほど前より、通常の授業が終わった後の7~8限目に希望する高校生向けに毎日、ネーティブ教員による英語授業を設けた。ネーティブの専任教員は2人、非常勤教員も5人いる。

野水校長は「やはり海外大進学の最大の課題は英語力。米国のトップ大学に進学する条件として英語検定試験『TOEFL iBT』で100点以上のスコア取得が必要だ。そのためにはネーティブ教員による授業は不可欠。英語でディスカッションしてエッセーを書けないと、これらの大学には留学できない。英語の教員によれば、開成でもiBT100点クラスの生徒が増えてきている。高3の段階で30~40人ぐらいはいる」と話す。

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霞が関で石を投げれば、開成OB官僚に当たる
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