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正月のおせちを缶詰だけで ワカサギの田作りや黒豆も

黒川博士の百聞は一缶にしかず(9)

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NIKKEI STYLE

2021年も間もなく終わる。1月のバイデン米新大統領就任に始まり、東京五輪・パラリンピックの開催、菅内閣から岸田新内閣への移行や原油価格の高騰に加え、新型コロナウイルスの変異株・オミクロン株出現と、実に様々な出来事が続いた1年だった。新しい年を迎える前にちょっと息抜きをしてもバチは当たるまい。そこで正月のおせち料理を缶詰だけでまかなうという前代未聞の企画を考えたのであります。

缶詰は数ある加工食品の中でも、食材の豊富さでいえばナンバーワン。うまく選んで組み合わせれば、ジョークとはいえ正月らしい食卓になりそうな気がする。「おせち作りは大変なので敬遠したいが、雰囲気だけは味わいたい」というひとり暮らしや夫婦2人世帯などには参考になるかもしれない。

まずは田作りから。カタクチイワシの幼魚を干したものを、砂糖としょうゆ、みりんなどで甘辛く煮たものだが、その昔、田んぼの肥料にイワシを使ったところ豊作になったことから「田を作る」という意味で、その名がついたといわれている。また、幼魚をたくさん使うことから子孫繁栄の願いも込められている。本来はカタクチイワシを使う料理だが、ここはひとつ、ワカサギで代用してみよう。

木の屋石巻水産(宮城県石巻市)の「わかさぎ甘露煮」は、甘さを出すために砂糖と水アメを使っている。水アメには保湿作用があるとされ、ワカサギの身がしっとり柔らかく仕上がっている。表面の輝くような照りも水アメのおかげだ。オス・メス両方が入っているので、卵を持ったメスを食べるとぷちぷちした食感が心地良い。思わず「当たり!」と叫びたくなる。

黒豆は、黒大豆を甘く炊いただけの素朴なものだが、原料と炊き方に気をつかったものは素晴らしくおいしい。僕はエム・シーシー食品(神戸市)が造る「丹波黒」缶詰を食べて、そう思った。完熟した黒大豆(兵庫県丹波篠山産)を自然乾燥させ、サヤから手作業で取り出したものを、銅製鍋で2日間かけてじっくり炊き上げている。仕上がりで割れたり、皮にひびが入ったりしたものは極力取り除き、缶に詰めているというこだわりぶりがすごい。おかげで粒の隅々までふっくらとしており、それでいて皮は薄くて柔らかい。かめばかむほど品のいい香りが立ち昇ってくる。ちなみに、黒豆を食べるのは「マメ(豆)に働き暮らしていけるように」という縁起担ぎにちなむ。

あっさりとした料理の合間に「いい刺激」

お次は「かまぼこ」であります。板付きかまぼこではないけれど、仙台名産の「笹かまぼこ」がなんと、缶詰で出ているのだ。武田の笹かまぼこ(宮城県塩釜市)が開発した「canささ 笹かまアヒージョ」がそれ。その名の通りアヒージョになっている。ニンニクとトウガラシを加えた油で煮てあり、香ばしいにおいがあって食欲をそそられる。あっさりしたおせち料理の合間には、いい刺激になる。

笹かまぼこは焼いてつくるので(板かまぼこのほとんどは蒸し)、表面に焼き色が付いている。一見すると歯応えがありそうに見えるが、かめば柔らかく、練り物特有のうまみが湧き出してくる。油に浸っているおかげで、清酒だけでなくビールや白ワインにもよく合う。

煮物代わりにぴったりの一品も

締めくくりは温かい煮物など、いかがだろう。Veeell(ヴィール、宮城県角田市)が手掛ける「鴨だんご」は、希少な「野田鴨」を使った肉だんごの汁物缶詰だ。野田鴨とは宮城県角田市のブランド鴨で、月産6千羽と生産量がとても少ない。それゆえ、基本的には業務用で、一般市場にはほとんど出回らないらしい。その鴨肉で作っただんごは、野趣にあふれ、鴨肉特有の鉄分臭さもない。軽やかな脂がコクのあるうま味と一緒になって、口中を満たしてくれる。

他にも具としてコンニャクやゴボウ、シメジが入っていて、それらと鴨だんごのうま味が合わさり、汁にも重層的なうま味が溶け出している。鍋でさっと温めれば、おせち料理の煮物の代わりとしてぴったりではないだろうか。

気が早いぞと怒られそうだが、1月7日の「七草がゆ」に活躍してくれそうなおかゆの缶詰だってある。おかゆはお米から炊くのが本来の手順で、残りご飯に水を足して煮たものは「おじや」だ。ちゃんとしたおかゆを作るには少々手間が掛かる。そこで手間を端折って、缶詰で済ませてしまうのもアリではないか、と思うのだ。

こまち食品工業(秋田県三種町)の「こまちがゆ」は、秋田県産あきたこまちと水だけでつくられている。米粒のもちもちした食感も味わえるくらいのやわらかさに炊きあげている。口に含むと、風味にミネラル感があってみずみずしく、米ぬかの臭みがまったくない。同社によれば、工場で使っている水が天然の地下水なので、「そのミネラル分が作用しているのではないか」とのことだった。

七草(セリ、ナズナ、ゴギョウ、ハコベラ、ホトケノザ、スズナ、スズシロ)はパック品になってスーパーなどで売っている。買ってきて、さっと洗ってから茹でて刻み、熱々に温めたこまちがゆに混ぜて、塩で味つけすれば七草がゆの出来上がりだ。

実は我が家は夫婦2人で暮らしており、おせち料理を作ったことが一度もない。必要な食材の量を考えると、2人分だけ作るのは不経済だし、多めに作れば食べきれず、余ってしまう。だから、かまぼこを切って酒を飲み、餅を食べる程度で済ませてきた。でも、その気になれば缶詰をうまく活用するだけで十分、おせち気分が味わえる。お忙しい場合などには、ひとつの選択肢になるのでは、と缶がえた次第であります。

(缶詰博士 黒川勇人)

黒川勇人
1966年福島市生まれ。東洋大学文学部卒。卒業後は証券会社、出版社などを経験。2004年、幼い頃から好きだった缶詰の魅力を〈缶詰ブログ〉で発信開始。以来、缶詰界の第一人者として日本はもちろん世界50カ国の缶詰もリサーチ。公益社団法人・日本缶詰びん詰レトルト食品協会公認。

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