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暗号資産に一段と広がり 高度な知見が売買の前提に

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NIKKEI STYLE

「セキュリティートークン」(ST)という新しい金融商品が登場しています。未上場資産を暗号資産(仮想通貨)の技術を使って電子的な有価証券にしたものです。新市場創出への期待が高まる一方で、投資家の側にも高い知識と活用能力(リテラシー)が求められます。

「STには既存の株式や社債をトークン化したものと、これまで小口化が進まなかった資産を裏付けにトークン化して流通性を高めたものがある。今後、より大きな市場拡大を期待できるのは後者」。デジタル金融に詳しい井上聡弁護士はこう指摘します。

トークンとはもともと、象徴や印など代替になるものを指します。STは文字通り、紙の代わりに電子情報に置き換えたセキュリティー(有価証券)のことです。日本では2020年5月施行の改正金融商品取引法で「電子記録移転有価証券表示権利等」として明確化されました。資産価値があるものを裏付けとして発行されます。

三菱UFJ信託銀行は8月、不動産をデジタル証券化したSTを、証券会社を通じて投資家に販売しました。「7月の事前募集で、個人投資家から販売目標を超える申し込みがあった」と、同行の西村通芳シニアプロダクトマネジャーは話します。

このSTは不動産大手ケネディクスが保有する都心高級マンションの収益が裏付けで、購入者は想定利回り3.5%の配当金を受け取れます。1口100万円(最低出資単位2口)に対し、40~60代を中心に200人弱が購入しました。

トークン化の手法を使えば不動産以外にも非上場株式、飛行機など様々な資産を小口化し流通させる道が開けます。従来、有価証券の流通性を高めるには「上場」といった手段を使うしかありませんでしたが、「今までになかった投資商品を届けることができる」(西村氏)といいます。

三井物産デジタル・アセットマネジメント(東京・中央)は、年内に不動産STを個人向けに販売する計画です。300億円相当の物件を確保し、順次STにする方針で、3年で約1千億円の販売が目標です。

STは新しい商品だけに、投資家にも一定のリテラシーが求められます。まず確認すべきは販売会社です。STは金融商品取引法で、証券会社・運用会社として登録していないと販売することはできません。また井上弁護士は「市場が完全に整備されているとはいえないので、証券会社に商品リスクについて、丁寧に説明してもらうことも大切です」と指摘します。

STの売買にはネットで使う「秘密鍵」と呼ばれるパスワードのようなものが必要。「個人で保管すると紛失や流出被害の恐れがある。管理運営がしっかりした業者やプラットフォームを選んでほしい」と増田雅史弁護士は話しています。

増田雅史弁護士「環境整備にはもう少し時間が必要」

暗号資産(仮想通貨)の技術をベースにした新しい金融関連商品やサービスが相次いで産声を上げています。その中でセキュリティートークン(ST)はどう位置付けられるのか。金融庁の任期付専門官としてSTの法制化に関わった森・浜田松本法律事務所の増田雅史弁護士に聞きました。

――新しいサービスや概念が誕生しています。

「金融庁が最近の研究会で公表したイメージ図を基に整理しましょう。金融庁はこの図で、デジタル金融を決済などに使える『デジタルマネー』と『トークン』の2つに大きく分類しましたが、このうちトークンは暗号資産のブロックチェーン技術を用いたものです」

「STは、文字通りトークンの範疇(はんちゅう)に含まれます。同じトークンでも、暗号資産との違いは権利性の有無です。STは有価証券をデジタルな『トークン』に表章するというものですが、暗号資産は決済手段としては利用できても、それ自体に価値の裏付けとなる権利があるわけではありません。また、『コンテンツ・著作物トークン』とされるものは、芸術作品やゲームキャラクターなどを分割できないトークンに表章するNFT(ノン・ファンジブル・トークン)を意識した記載と思われ、数量的に残高が記録されるようなトークンではない点で暗号資産と異なります」

――STは金融商品取引法に規定され、権利性がある金融商品というわけですね。

「STは原則として金商法上の第1種金融商品取引業者でなければ販売できず、投資家保護の観点から厳しい規制があります。もっとも、デジタル社債、デジタル不動産投資持ち分など様々な発行事例が既に登場しており、このほかにも、スポーツクラブチームといったファン向けビジネス、航空機・船舶などの収益性のある動産、映画その他の創作物など、何らかの収益を生じ得るプロジェクトへの投資持ち分をST化する機運は高まりつつあります。事業者はSTの仕組みを用いることで迅速に資金調達ができるようになり、投資家はこれまで小口化が難しく投資に向かなかったような資産にも資金を振り向けられるようになります。これまでになかった直接金融の仕組みといえ、大きな市場が生まれる可能性があるといえます」

「ただ、現状は様々なSTを取引可能な場がなく、当面はSTの発行を取り扱う証券会社との間で売買する以外にSTの入手や換金の手段はありません。つまり、投資機会や流動性に大きな課題があるわけです。ブロックチェーン技術を活用した私設取引所の仕組みが動き出せば、STの取引は格段に容易になり流動性も向上することが期待できますが、そのような環境が整うにはもう少し時間を要するでしょう」

――新しい金融商品なので個人投資家も最初は戸惑うと思います。何か注意点はありますか。

「投資家には、金融リテラシーだけではなく一定のITリテラシーも求められます。STはブロックチェーン上の残高として記録されるもので、その取引を行うには秘密鍵と呼ばれるパスワードのようなものが必要です。しかし、投資家が秘密鍵を自分で保管すると、そもそも紛失リスクがあるほか、そこがセキュリティーホールになりハッカーなどに狙われやすくなります。証券会社や信託会社がカストディサービス(資産の管理・保全)を提供するSTの方が安全でしょう」

「STの商品性を吟味することも大事ですが、誰が場(プラットフォーム)を運営し、誰が発行後に秘密鍵を管理するかなど、管理運用面の体制を調べてしっかりした業者を選ぶことも大切です」

(木ノ内敏久)

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