30代でミュージカルの仕事にいったん区切りをつけ、テレビという新しい舞台に挑戦した。実はこれも、ミュージカルの世界を盛り上げたいという一心から選んだ道だった。米国には観光客や若者であふれかえるミュージカルの劇場があるのに、日本ではそれほど身近なエンタメには育っていない。「メディアとミュージカルの両方に出ている人は、自分の世代ではあまりいなかった。リスクはありましたけれど、自分が注目してもらえるようになれば、ミュージカル界も活気づくのではないか、と考えて必死に取り組みました」

生地は千鳥格子柄のフランネルで英国フォックス・ブラザーズ社製。ブリティッシュモード漂う都会的なスーツだ。スーツ(BEAMS F 13万2000円) 時計(グランドセイコーSBGE283、96万8000円) 撮影:筒井義昭

「一番面白がってもらう」に集中

歌番組でミュージカルのコーナーができたり、バラエティーで「プリンス育三郎です」と登場してウケたり。ミュージカルをベースにジャンルの異なる仕事で表現を磨いていった。「どんなジャンルであっても、自分を楽しみにして下さる方が、何をどうしたら一番面白がってくれるのか。そういうことだけを考えています」

ミュージカルの発展に貢献したい、という強い思いを胸に抱く。「日本オリジナルで世界に高く評価される、そんな新作を作りたい。ミュージカルをやってみたい、と思う若い世代や子供たちを増やすための環境づくりもイメージしています」

(Men's Fashion編集長 松本和佳)

=この項おわり

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