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カタカナスシはすしにも店にも遊び心 「映える」一貫

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NIKKEI STYLE

2021年に入って、にわかに注目され始めた外食分野がある。カタカナスシと呼ばれる、カタカナで店名を表記している寿司(すし)店。簡単に言うと、すし居酒屋のカジュアル版なのだが、プレゼンのうまさとお得さで、20代から30代の若年層、特に女性に人気だ。「スシエビス」「スシンジュク」「シチフク」といったすし店が次々とオープンしている。

「魚学マニア スシンジュク」(東京・新宿)に、早速潜入する。新宿三丁目交差点からやや四谷寄りの路面店。ホームページによるとオープンは午後4時とあったので、満を持して店を訪れた。すると、その日はテレビの取材があり、開店は午後6時からとのこと。「うーん、運が悪い」。仕方がないので、昼からやっている「旬鮮酒場天狗」を展開するテンアライドが手掛ける立ち飲み店「神田屋」で時間を潰す。ここもコスパの良さと使い勝手で酒飲みオヤジにはうれしい店だ。

午後6時、一番乗りで店に行くと、スタッフから「ご予約は?」と聞かれる。一瞬、嫌な気分が広がる。「してません」と答えると、「今日はご予約で一杯です」とのこと。あー、またやってしまった。俺は何度、こうしたボケをしないと気が済まないのか。話題の店は予約必須なのに。その場で予約し、その日はスゴスゴと帰った。

予約当日、意気揚々と店に行く。通された席はカウンター。店全体は、比較的簡素な作りで、イスは酒を入れるプラスチックボックスに座布団を乗せただけ。壁などにも最近はやりのネオン管を使ったような装飾もない。席数は40席ほどか。

だが、料理はものすごいインパクトがある。

例えば、「名物」と銘打った「エビカニ合戦」(879円)。カニの甲羅にエビの乱切りとカニのすき身を盛り、そこにイクラをこぼれるほどたっぷり。さらに卵黄を添えている。「これはすしか?」と思うほどだが、その下には、シンプルな巻物が置いてある。具をアテに酒が飲めるし、巻物に乗せてアレンジを楽しむこともできる。うーむ、なかなかよく考えてある。一人で食べきるのは、少し辛いが、2人以上なら確実にお得メニューだ。何より「エビカニ合戦」というネーミングが秀逸だ。

「マウント寿司」(879円)も面白い。メニュー表を見るだけだと、どんなメニューか分かりづらいが、巻きずしの上に、魚介が入ったとろろとイクラを乗せたもの。その段階でも「映える」料理だが、巻いてあるプラスチック容器を上に抜くと、とろろとイクラが流れ出し、巻きずしにかかる。この体験は楽しいし、動画としても「映える」。なかなかやるなあと思わず思ってしまう。

一人じゃ食べきれない、数量限定!見逃し厳禁!マグロまみれ

「数量限定!見逃し厳禁!マグロまみれ 」(1099円)もスゴイ。「エビカニ合戦」と同様、巻物の上に、おそらく複数のマグロの部位を乱切りしたものを山盛りに乗せている。30切れくらいはあるだろう。こちらも一人では食べきれない量だ。

もちろん、こうした変わりずしだけでなく、普通の握りずしも多くそろえている。ただ、どこかひとクセがあり、「炙り海老 雲丹ソース」(329円)は、エビの上にウニソースを乗せ、それをあぶっている。大手回転ずしチェーンを見ても、あぶりエビのメニューはあるが、ウニソースを使った商品はない。

「イカソーメン カラスミがけ」(329円)もそうだ。回転ずし店では一般に、調理場の生産性を考えてのことだろうが、手間のかかるイカソーメンをわざわざ握りにはしない。「スシンジュク」は、大手がやらない隙間を突いてくるのである。しかも、1貫付けから3貫付けまであるスタンダードなアジや中トロ、赤貝などもすべて329円。価格は回転ずしレベルだ。これはうれしい。

「スシンジュク」は酒の品ぞろえは地味だが、実は奥が深い。

珍しいのが「ドブ漬けPONグリア」。日本酒をベースにフルーツやハーブなどをスペインのサングリアのように漬け込んで作ったものらしい。面白そうだったので、普段はビールかハイボールなのに、これを頼んでみた。女性向けだと思ったのだが、酒飲みはそこで逃げてはいけない。

これが大当たり。赤、青、黄、緑の4種がある中で、メニュー表のトップにある赤を選んだ。ベリー系の果実が漬け込まれており、ほんのりと赤みを帯びている。入れ物はウイスキーのスキットルに似たもので、ちょいとカワイイ。飲んでみると、通常の日本酒よりややアルコール度数が低く、飲みやすい。食前酒に最適だ。梅酒の別バージョンのイメージだ。このアイデアは使える。小さめのグラスに注いで飲むと、およそ2杯分とれる。ただし、値段は少しお高めで659円だ。

キレを感じる生酒、発酵途中ならではの発泡感も爽快

「極 生日本酒サーバー」も面白い。「生? それって火入れしていないってこと?」。次のドリンクを訪ねてきた女性スタッフに聞くと要領を得ない。仕方なく店長らしきスタッフに聞くと、「提携している蔵元から出来たての日本酒を仕入れ、それをサーバーから出す仕組みです」とのこと。こちらも飲食記者歴30年だ。

さらに突っ込んで「それって、冷蔵庫に入れていないと発酵が進んじゃうタイプのやつ?」と聞くと「そうです、だから口開けとそれ以降は、少しずつ味わいが変わってきますし、その面白さを楽しんで欲しいと考えています」。

うーん、なかなか渋い。最近、口だけで「生ワイン」などをうたう店が少なくないが、ここは本物の生酒だったわけだ。知る限り生酒をサーバーで出している店はないのではないか。日本酒好きでなければ、気付かないことだが、これは、なかなかポイントが高い。

実際に注文してみると、生酒独特の香りの良さ、キレを感じる。発酵途中ならではの、軽い発泡感も爽快だ。思わず、1合を2回注文してしまった。半合で549円、1合で989円。どうもここは、コスパ抜群なつまみずしを出して、少しお高めの酒で採算を取るという戦略のようだ。

それでも、いいと思う。料理もそうだが、いろいろなところに「楽しさ」がちりばめられているからだ。シメの料理もいろいろあるが、バカバカしくも面白いのが、「明日のためのしじみらーめん」(439円)。有名ブランドのカップ麺のほぼパクリだ。

トイレもバカバカしい。店内の奥まったところにあるのだが、見た目は自動販売機。スタッフからは、「小銭を入れて入ってください」と言われるのだが、実態はフリーだ。

こうしたサプライズは、席に着いた時からある。席には卵の握りとガリが乗った小さなすしげたがあるのだが、これはあくまで食品サンプル。そこにモバイルオーダー用のQRコードがついていて、それで注文することも可能だ。箸の先端を覆う紙は「お味くじ」となっていて、「超大吉」というレアな結果が出ればドリンク一杯になる。なんとなくだが、「客を喜ばせてやろう。驚かせてやろう」という気合が店中にあふれている感じなのだ。

経営するのは、飲食業や設計・内装工事事業、コンサルティング事業を展開するスパイスワークスホールディングス(東京・台東)。代表の下遠野亘氏は、「外食業界の鬼才」とも言われる人物。スシローを展開するFOOD & LIFE COMPANIESが力を入れているすし居酒屋「杉玉」の開発も下遠野氏のアイデアが源泉となっている。カタカナスシは、それをカジュアルダウンして、若い層を取り込んでいるという感じだ。

この店、オジさんにとっても居心地が悪くない。一人でもいいのだが、せっかくなら部下2人くらいを連れて、いろいろなすしと料理を楽しみたいところだ。予算はそんなに酒を飲まなければ、3人で1万2000円くらいか。せんべろ居酒屋に行くのもいいが、「俺はこんな店も知ってるぜ」と密かに自慢するには最適だ。ただし、予約は必須。

(フードリンクニュース編集長 遠山敏之)

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