国を挙げてキャッシュレス化が進められている現在、私たちがモノを買ったりサービスを利用したりした際の、代金の支払い方法は実に多様になってきています。
経済産業省が2018年に発表した「キャッシュレス・ビジョン」では、「キャッシュレス」について「『物理的な現金(紙幣・硬貨)を使用しなくても活動できる状態』を指すこと」と定義。同ビジョンの「キャッシュレス支払手段の例」ではクレジットカード(クレカ)、交通系や流通系の電子マネー、デビットカード、さらに「モバイルウォレット」という言葉でスマートフォン決済サービスなどが紹介されています。「ポイント払い」はここには見当たりません。ただし、先ほどお伝えした同ビジョンでの定義に照らせば、これもキャッシュレスに該当するといえるでしょう。
様々な手段がある分、何をどう使えばいいか分からなくなってしまい、「結局、現金で払う」という人も少なくありません。けれど、そこでちょっと考えていただきたいのです。現金で払ってしまえば、「支払いを済ませた」というだけで終わりです。これに対して、キャッシュレス決済にはポイントがつくなど単に支払いが済むだけでなく、プラスがもたらされるものも。従って、支払う金額自体は一緒でも、現金払いよりお得になるケースがあり得るわけです。
モノやサービスの代金を支払うことで、ポイント付与やキャッシュバックなど節約につながるメリットを受けられる場合もあるのが、キャッシュレス決済の1つの良さです。今回は、少しでもお得になる支払い方法についてご紹介したいと思います。
クレジットカード、よく使う店の優待特典付きを活用
ひと昔前なら、数百円の支払いにクレジットカードを使うのは「現金で払うより店側に手間をかけてしまう」と気が引けたもの。しかし、いまはコンビニエンスストアをはじめ、消費者が自分でカードを差し込んだり、かざしたりすれば「サイン不要で支払い完了」となる決済端末を導入するところが増えてきました。こうした端末を利用できる場合は、小銭を探す手間も省けるとあって現金の受け渡しよりスピーディーに支払いを済ませることができます。
そんなクレジットカードの利用でおすすめしたいのが、「よく利用する店」の優待特典が付いたカードです。たとえば、イオングループの「イオンカード」やセブン&アイ・ホールディングスのグループの「セブンカード・プラス」がこれに当たります。両者のように流通各社がグループ内にカード会社を設けて発行している例もあれば、カード会社と提携して発行、自社で発行といったケースも。読者の皆さんにとっては、具体的なカード名の方が店舗名を想起しやすく、「あの店のあのクレカのことね」とピンとくるかもしれません。
仮にこれらを「流通系クレカ」と呼ぶことにします。流通系クレカを対象店舗での決済に使うと、ポイントの付き方が通常の倍になったり特定の日に代金が割引きになったりするなど、お得になることがあります。
スーパーなど、あなたが「よく利用する店」はそうした流通系クレカがあるでしょうか。ある場合は、普段の買い物での決済にそれを使うだけでも「ちりも積もれば……」でポイントなどがそれなりにたまっていきます。
クレジットカードというと、一昔前までは「メーンとなる1枚のカードに利用を集約」といった考え方が主流でした。しかし、最近は年会費が無料のカードも増えました(「年1回決済で使えば無料」といった「実質年会費無料」のケースを含みます)。さらに、流通系クレカの種類が広がったことで、かつてのように「一定のポイントをためて商品券などに交換」といった、端数のポイントは結局使えなくなるものだけでなく、「1ポイント1円」から使えるものも増えました。
そうした様々な変化もあり、流通系クレカなどを複数枚所有して場面ごとに使い分けた方が、「クレカは1枚に集約」とするよりお得になるケースが多いようです。
もちろん、クレカを複数枚所有した場合とメーンの1枚に利用を集約した場合とで、どちらの方がよりお得かは、一概にはいえません。その流通系クレカがある店でどのくらい買い物をしているかといった利用頻度やそこでの購買金額によっても変わってきます。
とはいえ、これまで「クレカは1枚に利用を集約」と考え、ご自身がよく使うお店に流通系クレカがあっても関心を持たなかったという方は1度、その特典を確認されてみてはいかがでしょうか。お店にパンフレットが置いてあるかもしれませんし、インターネットを使って調べてみるのもいいでしょう。
電子マネーはチャージポイントがつくものが有利
次は、鉄道系や流通系がある電子マネーについてです。電子マネーは基本的に現金や銀行口座、クレジットカードから指定した金額をチャージして支払う形になっています。この支払いの際に、ポイントが付与されるものがあります。