さまざまな形の「冷戦」

40年以上にわたる冷戦の間、米ソは世界中で何度も代理戦争を行ってきた。朝鮮戦争、ベトナム戦争、その他の武力紛争で、2つの超大国は国家に資金提供を行い、また直接的な戦闘を行ってきた。さらに、南米、アフリカ、アジア、中東において、革命や反乱、政治的暗殺にも資金を提供した。

米ソはまた、20年にわたる宇宙開発競争の中で、技術的な優位性を証明するために競い合った。1957年、ソ連は初の人工衛星「スプートニク1号」を打ち上げ、1969年には米国が初めて月面に人類を送り込み、成功を収めた。1970年代半ばになるとようやく、両国は共同ミッションで協力し始めた。

1950年代以降、米ソは宇宙開発という新たな舞台で軍備を競い合った。写真はソ連初の人工衛星スプートニク (PHOTOGRAPH BY MARK THIESSEN, NAT GEO IMAGE COLLECTION )

冷戦はどのように終結したのか?

1980年代半ばになると、鉄のカーテンの向こう側の生活は一変していた。ソ連邦の国々では民主化運動が起こり、ソ連邦自体も経済的、政治的混乱に見舞われた。1987年には、特に危険な地上発射型ミサイルを廃棄する核条約を結ぶなど、米ソはより開かれた関係を築くようになった。

1991年、ソ連は民主化革命によって大半の構成国を失い、ワルシャワ条約は正式に解消された。ソ連最後の指導者ゴルバチョフは、西側諸国に国を開き、国有化に依存する制度を崩す経済改革を行った。そして、1991年12月、ソ連邦は解体された。

また新たな冷戦が始まるのか?

ソ連はなくなり、核兵器も1980年代から1990年代にかけて米ソ間で結ばれた核不拡散条約によって劇的に減少した。ここ数十年、米ロはアフガニスタンや対テロ戦争など、世界における様々な問題で協力してきた。

しかし、現代の地政学には今も冷戦の影響が刻まれている。両国は依然として、対立する利害、多額の防衛予算、そして国際的な軍事基地を抱えている。NATOもいまだに政治的な力を持ち、30カ国が加盟するまでに成長した。現在、NATOはポーランドやバルト3国などの旧ソ連邦諸国や旧ワルシャワ条約機構加盟国を含み、ロシアの国境際まで広がっている。1990年代以降、ロシアはNATOの東方拡大を自国の安全保障に対する脅威と見なしてきた。

2008年、ウクライナはNATOに加盟したいと希望を表明したが、2年後に新大統領がその計画を撤回した。2022年2月、ロシアがウクライナに侵攻したことで、ロシアと欧米の緊張は最高潮に達している。今回の危機を新たな冷戦の始まりになぞらえる論者もいる。

21世紀の冷戦はすでに始まっているのだろうか? それはまだ分からない。歴史家たちは、ポツダム会談が第2次世界大戦後の長い対立の舞台を作ったと言うが、新冷戦の始まりは、歴史のバックミラーに映るまで分からないかもしれない。

(文 ERIN BLAKEMORE、訳 桜木敬子、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック 日本版サイト 2022年3月29日付]