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冷戦はなぜ始まったのか? 歴史は繰り返されるのか?

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ナショナルジオグラフィック日本版

1945年の夏、第2次世界大戦における連合国側である米国、ソ連、英国の首脳がドイツのポツダムに集まり、この史上最も血なまぐさい戦争の終結に向けて話し合った。ドイツを分割して占領統治し、ソ連の支援を受けたポーランド政府を認め、さらにベトナムを分割するという、戦後の世界秩序を左右する重大な決断が下された。

ポツダム会談で最も重要な出来事の1つは、覚書として残されることも、記者会見で語られることもなかった。会議の後半、ハリー・トルーマン米大統領がソ連のスターリン首相をそばに呼び、ある衝撃的なニュースを伝えたのだ。米国は「異常な破壊力を持つ兵器」の実験に成功した、と。

数週間後、米国は原爆を使用して日本を降伏させた。核兵器の破滅的な力を実証した米国は、戦争で同盟関係にあった列強の中で突然優位に立った。そして、わずか1年半後には、米国とソ連という2つの超大国の危険な覇権争いが始まり、ソ連が崩壊する1991年まで40年以上も続くことになる。

両国は表向きは平和な関係にあったものの、莫大な費用をかけた急速な軍拡競争や、南米、アフリカ、アジアでの代理戦争、そして米国主導の資本主義陣営とソ連主導の共産主義圏の間で、世界的な支配をかけた競争が繰り広げられた。

半世紀近くも続いた冷戦はなぜ始まり、どのようにエスカレートしていったのか。今日の世界に何をのこしたのか。そして、新たな冷戦がすでに進行していると考える専門家たちがいる理由を見ていこう。

なぜ「冷戦」と呼ばれたのか?

「冷戦」という言葉は、欧州諸国間の関係が険悪になっていく様子を表現するためにフランスで「ゲール・フロワ(冷たい戦争)」という表現が使われていた1930年代から存在した。その後、1945年に米国が広島と長崎に原爆を投下した直後、英国の作家ジョージ・オーウェルが、原爆が国際関係において何を意味するかを探るエッセーの中で、冷戦という言葉を使った。

原爆は10万人を超える民間の日本人の命を奪った。あまりに恐ろしいその破壊力は、大国間の戦争を抑制する代わりに「征服不可能であると同時に、近隣諸国と永久に『冷戦』状態にある国家」を作り出すだろう、とオーウェルが予測するほどだった。

かつて同盟国だった米ソの間に不信の種が育つにつれて、オーウェルが予言した「平和でない平和」は現実となった。

冷戦はどのように始まった?

ソ連は第2次世界大戦でナチス・ドイツと激戦を繰り広げ、 軍人・民間人合わせて推定2400万人という最も多くの犠牲者を出した国だ。指導者スターリンは、こうしたソ連の貢献を反映していないとして、戦後の欧州分割に不満を抱いた。

米国では、外交官ジョージ・ケナンが、1946年にソ連外交を分析した「長文電報」で、ソ連への不信感を表した。ケナンは、ソ連が非論理的で不安定であり、長期的に西側と協力することはないだろうと警告した。これを受けて、米国はソ連のイデオロギーと影響力の拡大を防ぐために「封じ込め」政策を取り始める。

米国は、すぐにこの新しい政策を実行に移す機会を得た。1947年、英国が、共産主義者による反乱を抑えようとしていたギリシャとトルコに対する援助を打ち切ると発表した。トルーマン米大統領は、これを機に、米国議会に両国を支援する資金を要求し、「トルーマン・ドクトリン」と呼ばれる原則を確立した。米国は、ソ連軍や共産主義者の暴動によって脅かされる国や人々を支援すべきだというものだ。スターリンは、この動きを「影の戦争」の幕開けと見なした。

「冷戦」という言葉は、西側の資本主義と東側の共産主義の間のイデオロギー的な闘争を表す略語になった。米国のジャーナリスト、ウォルター・リップマンが、1947年に発表した一連の記事でこの言葉を流行らせた。

なぜNATOができたのか?

ソ連の影響力を西に拡大し、他の国々を共産主義の支配下に置こうとするスターリンの動きを懸念していたのは米国だけではない。1948年、ソ連はチェコスロバキアで起きたクーデターを支援し、西ベルリンの封鎖を開始した。当時ベルリンは、東は共産主義、西は資本主義が支配する占領地域に分割されていた。

米国とその同盟国は統一戦線を示そうと、大西洋をまたぐ相互防衛同盟である「北大西洋条約機構(NATO)」を結成した。1949年4月4日、米国、カナダ、ベルギー、デンマーク、フランス、アイスランド、イタリア、ルクセンブルク、オランダ、ノルウェー、ポルトガル、英国は、「加盟国のうち1カ国でも武力攻撃を受ければ、それをすべての加盟国に対する攻撃だとみなす」ことに合意し、条約に調印した。

これに対し、ソ連は独自の防衛同盟を結んで対抗した。1955年に締結されたワルシャワ条約は、ソ連に加え、ポーランド、東ドイツなど7つの衛星国を含み、1946年にチャーチルが演説の中で「鉄のカーテン」と呼んだ東西ヨーロッパの思想的・軍事的な壁を強化するものとなった。

世界は核戦争にどこまで近づいたのか?

「鉄のカーテン」を挟んで対峙していた米ソ両国は、何百兆円もの資金を投入して核兵器を蓄積し、軍拡競争を繰り広げた。

当初は米国が有利だった。しかし、ソ連が核兵器を保有するようになると、両国は「相互確証破壊」によって膠着状態に陥った。どちらかが攻撃すれば、もう一方が報復し、双方に破滅的な結果をもたらすという考え方だ。

1962年のキューバ・ミサイル危機は、冷戦の中で最も緊迫した出来事だった。米国は、フロリダ州からわずか145キロ南に位置する共産主義国キューバに、ソ連のミサイル基地と武器があることを察知した。ケネディ大統領は、これらの撤去を要求し、「米国領土を攻撃すれば、直ちにソ連に核攻撃を加える」と宣言した。

2週間近くに及ぶ緊迫した交渉の間、核戦争の脅威は間近に迫っていた。最終的にソ連は、米国がキューバに侵攻しないと約束すればミサイルを撤去することに同意した。このとき水面下では、米国もトルコからの核兵器撤去に合意していたが、この合意が公表されたのは1987年だった。

しかし、その後も双方の核兵器は激増し続けた。1980年代後半には、米国が2万3000発、ソ連が3万9000発の核兵器を保有していたと推定されている。

さまざまな形の「冷戦」

40年以上にわたる冷戦の間、米ソは世界中で何度も代理戦争を行ってきた。朝鮮戦争、ベトナム戦争、その他の武力紛争で、2つの超大国は国家に資金提供を行い、また直接的な戦闘を行ってきた。さらに、南米、アフリカ、アジア、中東において、革命や反乱、政治的暗殺にも資金を提供した。

米ソはまた、20年にわたる宇宙開発競争の中で、技術的な優位性を証明するために競い合った。1957年、ソ連は初の人工衛星「スプートニク1号」を打ち上げ、1969年には米国が初めて月面に人類を送り込み、成功を収めた。1970年代半ばになるとようやく、両国は共同ミッションで協力し始めた。

冷戦はどのように終結したのか?

1980年代半ばになると、鉄のカーテンの向こう側の生活は一変していた。ソ連邦の国々では民主化運動が起こり、ソ連邦自体も経済的、政治的混乱に見舞われた。1987年には、特に危険な地上発射型ミサイルを廃棄する核条約を結ぶなど、米ソはより開かれた関係を築くようになった。

1991年、ソ連は民主化革命によって大半の構成国を失い、ワルシャワ条約は正式に解消された。ソ連最後の指導者ゴルバチョフは、西側諸国に国を開き、国有化に依存する制度を崩す経済改革を行った。そして、1991年12月、ソ連邦は解体された。

また新たな冷戦が始まるのか?

ソ連はなくなり、核兵器も1980年代から1990年代にかけて米ソ間で結ばれた核不拡散条約によって劇的に減少した。ここ数十年、米ロはアフガニスタンや対テロ戦争など、世界における様々な問題で協力してきた。

しかし、現代の地政学には今も冷戦の影響が刻まれている。両国は依然として、対立する利害、多額の防衛予算、そして国際的な軍事基地を抱えている。NATOもいまだに政治的な力を持ち、30カ国が加盟するまでに成長した。現在、NATOはポーランドやバルト3国などの旧ソ連邦諸国や旧ワルシャワ条約機構加盟国を含み、ロシアの国境際まで広がっている。1990年代以降、ロシアはNATOの東方拡大を自国の安全保障に対する脅威と見なしてきた。

2008年、ウクライナはNATOに加盟したいと希望を表明したが、2年後に新大統領がその計画を撤回した。2022年2月、ロシアがウクライナに侵攻したことで、ロシアと欧米の緊張は最高潮に達している。今回の危機を新たな冷戦の始まりになぞらえる論者もいる。

21世紀の冷戦はすでに始まっているのだろうか? それはまだ分からない。歴史家たちは、ポツダム会談が第2次世界大戦後の長い対立の舞台を作ったと言うが、新冷戦の始まりは、歴史のバックミラーに映るまで分からないかもしれない。

(文 ERIN BLAKEMORE、訳 桜木敬子、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック 日本版サイト 2022年3月29日付]

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