実力派バーテンダー夫妻の本格バー 東京・銀座

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2022/10/24
「Bar Landscape.」のフレッシュフルーツカクテルで人気の「バナナとラフロイグのフローズンカクテル」

「なじみのバーが銀座にある」。そんな大人に憧れたことはないだろうか。日本で最もバーの多い街、銀座。重鎮や巨匠バーテンダーのいるバー、歴史ある老舗バー、作家ゆかりの文壇バーなど、その顔は実にさまざまで、世界のバー好きが注目する街だ。視点を変えれば、バー激戦区でもある。そんな銀座の西、6丁目に2019年に誕生したバーがある。

「最も注目すべきバー」と呼ぶにふさわしい、実力派の2人が営んでいる店だ。

Summary
1.2019年から銀座で営業するオーセンティックバー
2.スタンダードなカクテルと、自由な発想の季節のカクテルを
3.ゆくゆくは酒の生産地をめぐり、歴史や文化を学び、客と共有したい

2人とは、松尾一磨さんと民子さん夫妻。一磨さんは銀座6丁目「リトルスミス」、民子さんは銀座1丁目「BAR オーパ」と、それぞれ名店で活躍してきた。夫妻はともに、一般社団法人日本バーテンダー協会(N.B.A.)が主催する「全国バーテンダー技能競技大会」で、一磨さんは2013年に、民子さんは2016年に優勝している。

それぞれにファンも多い2人が、「Bar Landscape.(バー ランドスケープ)」と名付けられたオーセンティックバーを開店したのだ。地階へ降りると、すでに歴史を刻み始めている看板が迎えてくれる。襟(えり)を正して背筋を伸ばして扉を開けよう。

店内は天井が高く地階とは思えないほど広がりがあり、凛(りん)とした空気が漂っている。カウンターは10席。着席するや否や、心身ともに落ち着ける。

ゆるいカーブを描くカウンターの材木は「アサメラ」。長さ7メートル以上の希少な一本を使用している。夫妻の希望で、返しも一枚板で作られ、ひじが自然にかけられるよう丸みを帯びたひじかけに工夫されている。これが落ち着いた居心地に、大きく関与しているのだろう。

「開店当初よりカウンターの色に深みがでてきました。これからの歳月、どう変化するのか楽しみです」と、松尾さん夫妻。「ジョージ・ナカシマ」のイスの座り心地も、しっかり体感しよう。

カウンターの背後には、テーブル席が4つ用意されている。普段はカウンター席のウエーティングで使われることが多いそうだ。グループで行くなら確認の電話を入れると安心だろう。

「ジントニック」。季節や気温でステアの回数は変わる

では早速、カクテルをオーダーしよう。

1杯目はやはり「ジントニック」を。「バーに入ったらジントニックから」は、バーではスタンダードな台本だ。別所で飲んできた人も、さわやかなジントニックなら、ゴクゴクいけるだろう。

「ジントニック」は、冷凍庫から取り出したジンと絞ったライムを、まずしっかりとステアする。「ここでよく混ぜ合わせて、すごくおいしい状態にすることが大切なんです」。季節や気温でもステアの回数など変わってくる。トニック・ウォーターを注ぎ、炭酸が抜けないよう優しくステアする。

底に富士山がそびえるグラスに、シュワシュワと水泡が弾け、まるで生きているような「ジントニック」だ。