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有森裕子 陸上の魅力をいかに伝えるかを深く考えた

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日経Gooday(グッデイ)

気温や気圧の激しい変化の影響で、体調管理が難しい季節です。だるさや頭痛、腰痛の悪化など、不調を感じている方も多いかもしれません。十分な睡眠や食事、冷え防止などを心がけつつ、家やジムでの筋トレや階段の上り下りで体を動かし、ストレッチで筋肉の緊張をほぐすなど、室内でもできるトレーニングやコンディショニングを楽しみながら、この季節を乗り切りましょう。

東京五輪代表選手の活躍が目立った日本選手権

さて、2022年6月9日~12日の4日間、大阪のヤンマースタジアム長居で、日本陸上競技選手権大会が開催されました。各種目の決勝はテレビ放送もされたので、ご覧になった方もいると思います。7月に米オレゴンで開催される世界陸上競技選手権大会の代表選考会を兼ねた大会で、最終的に8種目で10人の内定者が出ました。

そんな中でも目を引いたのは、2020東京五輪の入賞者たちの活躍でした。例えば、東京五輪男子3000メートル障害で7位に入賞した三浦龍司選手(順天堂大)は、前半を積極的に飛ばし8分14秒47の見事な走りで優勝しました。彼のけん引によって、青木涼真選手(Honda)も世界選手権の参加標準記録を突破しました。同じく東京五輪男子走り幅跳びで6位に入った橋岡優輝選手(富士通)も、8メートル27をマークして世界選手権参加標準記録を突破しましたし、何と言っても、女子の田中希実選手(豊田自動織機)は800メートル、1500メートル、5000メートルの3種目に出場し、1500メートルと5000メートルで優勝。800メートルも2位という素晴らしい成績を収めました。

800メートルに関して言えば、田中選手にも優勝できる実力は十分にあったものの、最初の位置取りが後方すぎたように感じました。もちろん後ろから追い上げる計画だったのでしょうが、優勝した塩見綾乃選手(岩谷産業)が、かなりのハイスピードで前半から飛ばしたことは、田中選手には予想外だったように思います。それでもラスト200メートルからの驚異的なスパートで追い上げた田中選手の持久力とスピードには圧倒されました。しかも、ゴールの約70分後には次の種目である5000メートルのスタート地点に立ち、最後の1000メートルを2分50秒、ラスト400メートルを62秒で走りきって優勝した彼女の底力には驚くばかりでした。

五輪後に調子を落とさずに来られた理由は?

五輪やパラリンピックが開催された翌年は、調子やモチベーションを落としてしまうトップ選手が少なくありません。東京五輪の男子4×100メートルリレー代表の桐生祥秀選手(日本生命)が今回の日本選手権後に休業宣言をしたように、気持ち新たに再始動をするため、五輪の翌年はリフレッシュの年にあてる選手もいます。そんな中、三浦選手や田中選手らが調子をキープできている要因として考えられるのは、彼・彼女らの調整力の高さや切り替え力によることも大きいでしょうが、東京五輪・パラリンピックの閉幕後、オリンピアンたちが注目される機会が少なかったことも影響しているように思います。

五輪終了後、コロナの感染拡大に再び世間の目が向けられ、通常よりもメディアや公の場に呼ばれる機会が少なかった分、選手たちは次の目標に意識を向けて、通常の練習に集中しやすかったのではないでしょうか。何より、次の2024年パリ五輪まであと3年しかないという状況でしたので、「次を見据えなくては」「休んでいる場合じゃない」と考えていた選手も多いと思います。他のスポーツに比べ、陸上のトラック種目は観客を入れての試合再開が早かったことも、通常の練習モードに切り替えやすい要因だったかもしれません。

米オレゴンで初めて開催される世界選手権の代表内定を獲得した選手たちは、ぜひ、パリ五輪を見据えて世界での経験を積んでほしいと思います。日本選手権で優勝したものの、まだ世界選手権への参加標準記録を突破していない選手は、期日までの大会でなんとか突破できるように頑張ってほしいです。

4日連続で観戦して感じた、ファン獲得という大きな課題

さて、今回の日本選手権は、私が日本陸上競技連盟の副会長に就任して初めての日本選手権ということで、初めて4日間フルに観戦し、プレゼンターなども務めさせていただきました。さまざまな種目の選手の頑張りを間近でじっくり見せていただき、刺激を受けると同時に、観客席がガラガラな状態を目の当たりにして、競技人気の向上が今後の大きな課題であると実感しました。平日だったとはいえ、花形種目の男子100メートルの決勝が行われた日も、ホームスタンド以外の観客席は空席が目立ちました。見に来てくださった観客は陸上競技の熱心なファンが多い印象で、欧州などのように「ちょっと陸上競技でも観戦しに行こうか」という感覚で気軽に訪れてくれる観客は少ないようにも思いました。

原因はいろいろあると思います。陸上競技の大会は陸上競技場で開催しなければならないため、会場規模が大きく、空席が目立ちやすいこと。また、400メートルトラックとその内側のフィールドでさまざまな競技を同時進行しているので、自分の席から遠い場所では何をやっているのか分かりにくい面があります。トラック種目とフィールド種目を同時に開催することから、一斉のブレイクタイムのようなものがなく、バスケットボールのようなスポーツDJや音楽を使った、盛り上げる演出がしにくいという事情もあります。エンターテインメント的な要素が乏しく、遠くの方で何をやっているのかが分からない…そうした状況なので、初めて陸上を観戦にきたお客様はつまらなく感じてしまうかもしれません。

もちろん、100メートル決勝のように、スタート前に「シーーーッ」という効果音が鳴ることで会場中の視線が一カ所に集まり、競技場内が沈黙に包まれる光景は、息を飲む一体感を感じさせる面白い演出だと思います。ルールとして定められているわけではない中で、会場観客とアスリートが緊張感を共有するという、陸上ならではの演出は、1つの魅力とも言えます。ただ、ほかの競技には適用しにくいのが難点です。4日間連続で平日を含めて開催する点も、観客が気軽に足を運びにくい一因かもしれません。

「デフ種目」の面白さももっと分かりやすく伝えたい

これから一般の方に陸上競技にもっと関心を持ってもらい、気軽に足を運んで楽しんでもらうためには、さまざまな工夫が必要でしょう。可能かどうかは別として、例えばトラック種目とフィールド種目を分けて開催する。連続4日間ではなく、2週にわたって土日に開催する。効果音をうまく使ってエンターテインメント化するなど、前例や固定観念にとらわれず、あらゆる方法を模索しなくてはいけませんし、挑戦できるチャンスはたくさんあると思います。今回の日本選手権の後半の2日間は、土日だったため、大会前に小学生が走るレースもありました。そういう日は、陸上に興味のある小学生を無料で招待してもいいのではないかと思いました。

最終日の日曜日には、日本選手権のオープン種目として初めて「デフ(Deaf)種目」(100メートル、800メートル、4×100メートルリレー)を実施しましたが、この進行にも工夫の余地があると感じました。デフとは聴覚障害がある人の種目のことです。パラリンピックの種目には含まれず、4年に1度、デフリンピックという世界大会が開催されます。競技規則は一般の大会と同じですが、競技中は補聴器などの機器を装用することができないなどのルールがあります。

デフ種目のスターターは、選手が目で見て分かるように、選手の横ではなく前に立ちます。音や審判からの合図が聞こえないので、選手紹介が始まるタイミングや、スタートするための「セット」はスタッフが手話で知らせます。スタートは、光刺激スタートシステム(スタートランプ)による光が合図になります。こうしたデフ種目の仕組みについて、スタート前にアナウンスを使って会場に説明すれば、観客にも分かりやすく、もっと面白くなるのに、とも思いました(日本陸連のホームページではデフ種目について紹介しています)。

応援の仕方についても、声援の代わりにどんな応援をすれば選手に届くのかをアナウンスで呼びかけてくれれば、応援しやすくなり、選手にももっと喜んでもらえるように思いました。例えば、両手で手のひらをひらひらさせると、それが手話による「拍手」になります。2本の細長い風船(スティックバルーン)を叩いて見せることも応援になります。同じ場所で開催する以上、「何のために障害がない人とある人のスポーツを一緒にやるのか」という根本をしっかり考え、知ってもらうためのさまざまな工夫を取り入れて初めて、障害がある人とそうでない人がスポーツを通じてその場を共有・共感できる共生社会へとつながっていくのだと思います。

運営側としてはやることがたくさんあって大変だと思うのですが、それぞれの競技をどういう角度から切り取って見せれば魅力がより伝わるのかを、もっと考えなくてはならないように思います。そして何よりも、「陸上競技を観に行きたい!」と思ってくれるファンを獲得するには、スターの存在が不可欠です。スター選手をもっと生み出すような強化策も考えなくてはいけないでしょう。

日本陸連は今年5月、2025年世界陸上競技選手権大会の日本での開催に向けた招致活動に動き出しました。会場として、東京五輪のメインスタジアムとして使われた国立競技場の使用を希望し、東京都に協力要請を行っています。まだ開催されるかどうかは分かりませんが、多くの人が陸上を楽しんでもらえるような施策を考え、実行できるように、みんなで知恵を絞りながら考えていければと思っています。

(まとめ 高島三幸=ライター)

[日経Gooday2022年6月28日付記事を再構成]

有森裕子さん
元マラソンランナー(五輪メダリスト)。1966年岡山県生まれ。バルセロナ五輪(1992年)の女子マラソンで銀メダルを、アトランタ五輪(96年)でも銅メダルを獲得。2大会連続のメダル獲得という重圧や故障に打ち勝ち、レース後に残した「自分で自分をほめたい」という言葉は、その年の流行語大賞となった。市民マラソン「東京マラソン2007」でプロマラソンランナーを引退。2010年6月、国際オリンピック委員会(IOC)女性スポーツ賞を日本人として初めて受賞した。

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