「トマト一夜漬け」(429円)

まずは、つまみに頼んだのが、「トマト一夜漬け」(429円)と「奈良漬けクリームチーズ」(539円)。

「トマト一夜漬け」というので、トマトおでんのようにトマト1つを丸ごと酢漬けにしたものと勝手に想像していたのだが、テーブルに運ばれてきたのは大量のガリをまとったミニトマトだった。我ながら、これはナイスな選択。ミニトマト自体もガリ酢に漬け込まれているのだろう。これ自体もほんのり甘酢が効いた味わいで、アテとして十分に成り立つ。

「奈良漬けクリームチーズ」(539円)

もう1つのアテ「奈良漬けクリームチーズ」も良かった。奈良漬を細かく切ってクリームチーズとあえたもの。付いているクラッカーにのせると、奈良漬のしょっぱさが味をまとめてくれるという寸法なのだが、さすが酒飲みの心がよく分かっている。ハチミツが軽くクリームチーズにかかっている。これは日本酒でチビチビやっても良い。

「トマト一夜漬け」も「奈良漬けクリームチーズ」も、どこかの大衆酒場で食べたことがあるような記憶があるのだが、間違いない品ぞろえだ。

メニューの品ぞろえは、確かに「ニュー大衆食堂」という感じだ。改めてメニュー表をみると、前菜が17種、一品料理が11種、揚げ物が10種で、ご飯・麺が10種。通常の酒場と比べると、ご飯・麺の比率が高い。

それだけでなく、串焼きを一切置いていないのがすごい。調理に時間がかかる串焼きを思い切ってなくし、効率性を追求したのだろう。こうした動きはほかの大衆酒場にもあり、そこが「ニュー大衆酒場」と標榜する理由なのだろう。

さあ、ここまで来たら、シメだろう。

実は、入店時に左隣の男性一人客がものすごい勢いで「ナポリタン」(880円)を食べていて、ちょっとびっくりした。残業食だろうか、パソコンとスマホを見ながら、ウーロンハイ片手に一心不乱だ。実際に、食事メインの客はごく僅かだが、こうした使い勝手の良さが、「スタンド富士」の強みなんだろう。