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大衆酒場「スタンド富士」 つまみに工夫、シメも充実

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NIKKEI STYLE

2021年、飲食業界で話題になった店がある。居酒屋の「スタンド富士」。1号店は、20年7月、東京・恵比寿に開店した。JR恵比寿駅の西側の飲食店街の一角だ。店頭の白いのれんと、居酒屋なのにラーメンやナポリタンを提供するような一風変わった品ぞろえで話題となり、人気を博した。すると21年7月には浜松町に2号店を、11月には池袋に3号店をあっという間に出店している。

分かりやすく表現すると、食事を充実させた酒場ということだが、そのあたりは、店も幾分混乱しているようで、ニュースリリースには「ニュー大衆食堂」の冠がついているが、実際に店に行くと看板には「ニュー大衆酒場」と書いてあったりする。

言葉遣いを気にするオジさんにとってみると、「どっちやねん!」と下手な関西弁で突っ込みたくなるのだが、店に行ってみると、つまみもシメの食事もなかなかレベルが高い。業界で話題になるだけのことはある。

平日の午後6時過ぎ、池袋店を訪れた。JR池袋駅西口から山手通りへ向かう途中にある。池袋西口といえば、西一番街中央通りやロマンス通りなど、飲食店が密集している駅近北側エリアが有名だが、「スタンド富士」の立地は、そうした居酒屋一等地から少し離れている。ただし、ここ数年注目を集めている場所で「串カツ田中」もそこにあった。

店内は、白木造りが基調の落ち着いた作り。プレスリリースなどには「ノスタルジックな雰囲気」と書いているが、それはさほど感じない。店の中央に1人客用のスタンド席が20席あり、周囲のテーブル席で20席、計40席強というところか。客の入りは6割くらい。

前口上は、もうよい。さあ、飲み食いするぞ。

まずは、つまみに頼んだのが、「トマト一夜漬け」(429円)と「奈良漬けクリームチーズ」(539円)。

「トマト一夜漬け」というので、トマトおでんのようにトマト1つを丸ごと酢漬けにしたものと勝手に想像していたのだが、テーブルに運ばれてきたのは大量のガリをまとったミニトマトだった。我ながら、これはナイスな選択。ミニトマト自体もガリ酢に漬け込まれているのだろう。これ自体もほんのり甘酢が効いた味わいで、アテとして十分に成り立つ。

もう1つのアテ「奈良漬けクリームチーズ」も良かった。奈良漬を細かく切ってクリームチーズとあえたもの。付いているクラッカーにのせると、奈良漬のしょっぱさが味をまとめてくれるという寸法なのだが、さすが酒飲みの心がよく分かっている。ハチミツが軽くクリームチーズにかかっている。これは日本酒でチビチビやっても良い。

「トマト一夜漬け」も「奈良漬けクリームチーズ」も、どこかの大衆酒場で食べたことがあるような記憶があるのだが、間違いない品ぞろえだ。

メニューの品ぞろえは、確かに「ニュー大衆食堂」という感じだ。改めてメニュー表をみると、前菜が17種、一品料理が11種、揚げ物が10種で、ご飯・麺が10種。通常の酒場と比べると、ご飯・麺の比率が高い。

それだけでなく、串焼きを一切置いていないのがすごい。調理に時間がかかる串焼きを思い切ってなくし、効率性を追求したのだろう。こうした動きはほかの大衆酒場にもあり、そこが「ニュー大衆酒場」と標榜する理由なのだろう。

さあ、ここまで来たら、シメだろう。

実は、入店時に左隣の男性一人客がものすごい勢いで「ナポリタン」(880円)を食べていて、ちょっとびっくりした。残業食だろうか、パソコンとスマホを見ながら、ウーロンハイ片手に一心不乱だ。実際に、食事メインの客はごく僅かだが、こうした使い勝手の良さが、「スタンド富士」の強みなんだろう。

「ヤキソバ」(825円)にしようかと迷ったが、やはりここは名物の「中華そば」(770円)で行くことにする。ニュー大衆酒場というからには、東京風のあっさり系ラーメンかと思いきや、さにあらず。テーブルにある丼はかなりの存在感で、スープは独特の茶色。そこに男性の手のひらを越えるような大判のチャーシューがのり、なぜか大ぶりのアサリが2つ入っている。

ラーメンフリークではないので、これがどこの系譜なのかまったく分からないが、大衆酒場ではまず見ないのも確かだ。というより大衆酒場でラーメンを出している店は、ごく限られている。

スープを口にすると、やや甘みを感じるしょうゆ風味。ご当地ラーメンのどこにもないような味わいで、脂もしっかり入っている。数少ない記憶をたどると、四国の徳島ラーメンに近いか。麺はやや幅広の縮れ麺だ。

いけない、いけない。ラーメン評論になってはいけない。酒飲みとしては、シメの一杯としてどうかを語らないと。

結論を言うと、合格点と言える。独特なスープは、胃を温めてくれるし、どこか記憶に残る味だ。好みの味を求めて2軒目を探すよりリーズナブルだ。長居できないときは、サワーやハイボールと「中華そば」一杯でも十分献立が成り立つ。

ポイントは、大判チャーシュー。おそらく低温調理を実施しているのだろう。一部に赤い部分が見えるが、じっとりジューシーで、かみ切りやすく、これだけ取り出してつまみに欲しいほど。店には「ライス」(275円)もあるから、これで「ラーメンライス」も作ることができる。

正直言うと、やや捉えどころがない店という印象も残るが、客はそこまで複雑には考えていないだろう。自分の都合で好きなものを好きなタイミングで食べるに違いない。「スタンド富士」を見ていると、コンセプトうんぬんより、うまい酒とうまい料理があれば十分だよなと気づかされる。

(フードリンクニュース編集長 遠山敏之)

*遠山敏之さんは2021年末に急逝されました。謹んでお悔やみ申し上げます。本稿は遠山氏のご遺稿となりました。

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