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早い時間にサクッと餃子 爽やかレモンハイがすすむ店

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東京のJR目黒駅から徒歩で軽く10分はかかる。それでも、わざわざ目指して行きたくなる店がある。餃子(ギョーザ)居酒屋「めぐろの安兵衛」だ。本拠地は高知市にあり、東京・恵比寿にも2010年に出店して、行列ができるほどの人気店になっている。目黒店は19年にオープンした。

今年は宮崎市がギョーザ購入額1位に輝き、宇都宮市と浜松市の2強体制は崩れたが、高知市もしばしば上位に食い込むことで知られている。同市には外で飲んだ後、シメにギョーザを食べる文化がある。その先駆けとなったのが1970年、屋台から始まった「安兵衛」だ。

現在、高知県内に5店舗あり、屋台は川沿いから駐車場の敷地内に移転したが、50年以上営業を続けている。高知の屋台ギョーザは1軒の客席が20~30席と大きいのが特徴で、「安兵衛」ほか数軒が繁華街の外れで今も昭和の面影を残しながら営業している。

新型コロナウイルス禍でグループでの飲み会やはしご酒も減り、夜遅い時間帯の営業は何かと不利な状況が続いている。代わりに、早い時間からサクッと飲みはじめる0次会という言葉をよく聞くようになった。「めぐろの安兵衛」でもそれらしき利用客が増えていると聞き、足を運んでみた。

これまで高知と恵比寿の「安兵衛」に行ったことはあるが、目黒は初めて。行列を避けてオープン午後4時を目指して向かった。さすがに平日は行列もなく、一番に入店。「めぐろの安兵衛」では平日午後4~6時までに入店すると、ビールが半額の286円で飲める。意表をつく安さに一瞬なびきそうなったが、同店のギョーザにはビール以外にもう一つ、猛烈に相性のいいドリンクがある。「レモン酎ハイ」(682円)だ。

高知の「いまどき安兵衛」で初めて飲んだときの衝撃は忘れられない。レモンのジューシーさがカラッとした焼きギョーザのスナック感にぴったりはまる。明るい時間から飲む0次会にはぴったりの爽やかさだ。

登場するのはキンキンに冷えたジョッキとウィルキンソンの炭酸。ジョッキの中にはシャーベット状に凍った焼酎がすでに入っていて、半分にカットしたレモンが添えられている。先に炭酸を注ぎ入れ、レモンを搾ってグラスの中に落とす。マドラーでよく混ぜれば完成だ。

注文が入ってからギョーザを包むのが「安兵衛」鉄の掟

少しだけシロップが入っていて、ほんのり甘い。甘いのはちょっと……と敬遠する人もいるかもしれないが、ギリギリ許容できる範囲だと思うので、先入観を持たず頼んでみてほしい。店ではグラスと焼酎をキンキンに冷やすため、専用の冷凍庫まで設置する力の入れようだ。ちなみに高知の「屋台安兵衛」とひろめ市場内にある「ひろめで安兵衛」では冷凍庫が設置できないため、レモン酎ハイは飲めない。

ギョーザは注文が入ってから包み始めるのが「安兵衛」の鉄の掟(おきて)となっている。0.4ミリと極薄の皮を使用しているため、先に包んで置いておくと、店が売りにしている軽やかな食べ心地にはならないからだ。皮も破れやすいのだろう。職人がヒダを巧みに寄せる技は、点心師に並ぶ素早さ。「安定して包めるようになるまでに少なくとも1年はかかる」という店長の言葉も納得の美しい指の動きは必見だ。カウンターに陣取れば目の前で見ることができる。

包み終わるとすぐ焼きに入る。油がなじんだフライパンに1人前7個を縦1列に並べ、スープを少量加えて蒸し焼きにする。そのあと、ポットからたっぷり注がれるのは油だ。蓋をしてギョーザを半身浴の状態で蒸し揚げにしていく。あんはキャベツがメインで、そこに高知県産のニラとショウガ、豚肉が入り、ニンニクはありとなしが選べる。

これだけ大量の油を使っているのに食べ心地はさっぱりとしているから不思議だ。食べた後も口の中に油っぽさが少しも残らない。1皿食べても胃にドスンとこないので、シメでも0次会でも2皿は軽い。味も高知とまったく変わらない。

高知と変わらないのは味だけでない。なんと値段もほとんど変わらない。ギョーザとつまみは高知と同額、ドリンクの一部とデザートのアイスクリンだけが数十円高いだけ。都内に出店すると値段の違いに驚く店もあるだけに、これもうれしい企業努力だ。

店は70年(昭和45年)創業をうたっていることもあり、つまみには昭和のお父さんたちの晩酌をほうふつとさせる懐かしいものが多い。逆に想定外の姿で登場するポテトサラダやニラ玉などもあり、バランス感覚も絶妙だ。今回は一人0次会利用ということもあり、おとなしめに「ちくきゅう」(418円)と「切ピーマン」(308円)をオーダー。

ギョーザ居酒屋だが、実はファミリーにも人気

昭和つまみのなかでも、「ちくきゅう」はビジュアル系だ。「安兵衛」ではキュウリをカットせず1本丸々竹輪に通してカットする。高知では家庭でも同じ作り方だという。またふつうの竹輪ではなく、ちくきゅう用には穴の大きな竹輪があり、高知のアンテナショップで売られているのを見たことがある。

国税庁によると、高知県は一人当たりの酒類販売(消費)量が東京に次いで第2位(19年度)となっている。女性もお酒をよく飲み、宴席ではお酒を酌み交わす「献杯・返杯」といった文化も根強く残る土地柄だ。ご飯に合うおかず的なギョーザより、お酒に合うギョーザのほうが発達したというのもよく分かる。「水餃子」(506円)も飲んだ後にはうれしいスープスタイルだ。

お酒向きのギョーザではあるが、「安兵衛」はファミリーにも人気だ。メニューの「かつを飯」に、さらりと「お子様に大人気」と書かれているところからも、ファミリー需要が垣間見える。酒のつまみには素材感がしっかり残っているし、ギョーザはニンニク抜きも選べる。シメにアイスクリンまであれば子供は喜んで行くだろう。

住宅圏に近い目黒の店でも、ママ友とその子どもたちが、まるで駄菓子屋に遊びに来たかのように、夕飯前の短い昭和タイムを過ごしていた。スタッフが近所のお兄ちゃんのように、子供の相手をしている姿も昭和感があって、店の空気の一部になっていた。まるで高知にいるような和みの0次会だった。

ところで、安兵衛での支払いは現金のみとなっている。これも昭和と少し関係している。

「アナログで行けるところまで行ってみようかと。電子マネーがもっと増えれば、現金で払う行為自体がレトロになって、新しい世代には新鮮に映る日が来るかもしれません。そう遠くない気もしますけどね」

こう話すのは代表の臼井勝さん。「安兵衛」の2代目だ。デジタル化への同調圧力もどこ吹く風、あえて変えないことで店の魅力がまた一つ増えると読んでいる。ということで、電子マネーにすっかり慣れてしまった方は、支払時に慌てないよう、現金のご用意をお忘れなく。

(ライター 伊東由美子)

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