ギョーザ居酒屋だが、実はファミリーにも人気

高知スタイルの「ちくきゅう」は添えられたマヨネーズもキリッとして美しい

昭和つまみのなかでも、「ちくきゅう」はビジュアル系だ。「安兵衛」ではキュウリをカットせず1本丸々竹輪に通してカットする。高知では家庭でも同じ作り方だという。またふつうの竹輪ではなく、ちくきゅう用には穴の大きな竹輪があり、高知のアンテナショップで売られているのを見たことがある。

国税庁によると、高知県は一人当たりの酒類販売(消費)量が東京に次いで第2位(19年度)となっている。女性もお酒をよく飲み、宴席ではお酒を酌み交わす「献杯・返杯」といった文化も根強く残る土地柄だ。ご飯に合うおかず的なギョーザより、お酒に合うギョーザのほうが発達したというのもよく分かる。「水餃子」(506円)も飲んだ後にはうれしいスープスタイルだ。

塩昆布とゴマ油で味付けした「切ピーマン」は0次会向きのつまみ

お酒向きのギョーザではあるが、「安兵衛」はファミリーにも人気だ。メニューの「かつを飯」に、さらりと「お子様に大人気」と書かれているところからも、ファミリー需要が垣間見える。酒のつまみには素材感がしっかり残っているし、ギョーザはニンニク抜きも選べる。シメにアイスクリンまであれば子供は喜んで行くだろう。

住宅圏に近い目黒の店でも、ママ友とその子どもたちが、まるで駄菓子屋に遊びに来たかのように、夕飯前の短い昭和タイムを過ごしていた。スタッフが近所のお兄ちゃんのように、子供の相手をしている姿も昭和感があって、店の空気の一部になっていた。まるで高知にいるような和みの0次会だった。

「水餃子」はスープにつけながら食べる独自のスタイル

ところで、安兵衛での支払いは現金のみとなっている。これも昭和と少し関係している。

「アナログで行けるところまで行ってみようかと。電子マネーがもっと増えれば、現金で払う行為自体がレトロになって、新しい世代には新鮮に映る日が来るかもしれません。そう遠くない気もしますけどね」

こう話すのは代表の臼井勝さん。「安兵衛」の2代目だ。デジタル化への同調圧力もどこ吹く風、あえて変えないことで店の魅力がまた一つ増えると読んでいる。ということで、電子マネーにすっかり慣れてしまった方は、支払時に慌てないよう、現金のご用意をお忘れなく。

(ライター 伊東由美子)

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