老眼で困ったら 素直に周りにSOSできる人になる

夫が電子体温計のピピピがいつまで経っても鳴らないんだと、持ってきた。また電池切れなのだわ、ストックがあるはずだけど、と、引き出しを探したが、無い。1個も無い。

忙しい時に限って電池は無くなる。60年を生きて来て得た人生の教訓である。だから慌てない。慌てない。

玄関で靴を履いている夫はボチボチ会社に遅刻しそうな時間になっている。

今日買っておくからね、と送り出し、自分も支度の続きを始めた。あと10分でメイクを仕上げ、着替えて、ゴミ出して、タクシーを捕まえてなくては。

電池を体温計から取り出すのに手間取った。気持ちは焦っても手は動かない。これも人生の教訓! 靴を引っ掛けながら4分遅れで家を飛び出し、どうにか新幹線には間に合った。

今日は講演の仕事だ。話すことは頭に入っているので車内では脱力できる。

あの人は1日に何回も体温を測るよね。新しい趣味なのか? 健康に気を使うのはいいけど、電池のストックが無くなったら教えてほしいのよね。つか、自分でも買いに行けや。

と言いたくもあるが、忙しさで言えば夫の方が大変なのはわかっているのでね……。

仕事が終わり、夜になって自宅近くのスーパーに寄った。お肉と野菜と飲み物の売り場を回ったらカゴがかなり重くなった。しまった! その前に電池売り場へ行くべきだった。

人生の教訓を忘れていた。最初に軽いものから買いに行く事。

電池売り場を探して暫(しば)し彷徨(さまよ)う。ようやく見つけると、そこには電子体温計に使えるボタン型電池が数種類並んでいた。バッグからうちの電池を出して比べてみると、該当する物が2つあった。どっちだろ? 目を凝らして、うちの電池の裏に刻印されている数字を確認してみる。が、字が小さすぎてピントが合わない。目いっぱい腕を伸ばしたが、1本じゃ足りないぞー。

老眼がまた進んだようだ。またメガネの度を測りに行くのか。