グローバル企業とドメスティック企業で格差が開く

従来の内容から項目を変更したのは、「グローバル企業かドメスティック企業か」です。以前は「外資系企業か内資系企業か」と言っていましたが、この表現では実態を適切に表せなくなりました。

いま世界中でビジネスを展開し、人材獲得競争を繰り広げているグローバルカンパニーはグローバル基準の給与水準であるのに対し、ドメスティック企業は国内基準の給与水準です。この格差はどんどん開いています。

バブル崩壊以降、GDP成長率の低迷を続けた日本では物価も給与水準も伸びていないのに対し、主要な先進国や中国などは成長を続けています。

以前、ある候補者から「ニューヨークでは年収が1800万円ないと暮らせない」と言われ、「そんなことがあるだろうか?」と思い調べてみたところ、確かに、感覚的にはニューヨークの1800万円が日本の1000万円くらいの水準でした。これは国内の動向だけを見ていては理解できません。

なお、グローバル人材は働く土地、国を選びません。給与が高く、物価がリーズナブルなところに移動しますから、意外なことに最近は居住コストが高くなりすぎているシリコンバレーやニューヨークはあまり人気がありません。テスラが本社をテキサス州オースティンに移したように、どんどん別の都市に移っています。

顧客からの距離が近いほうが好条件

「顧客からの距離」は、元請けか下請けかの違いで、二次請け、三次請けと顧客からの距離が離れるにつれ給与水準は下がっていきます。BtoBのTier1(一次請け)も下請けで、たまにこの点を勘違いしている人がいるので注意が必要です。

「直接部門か間接部門か」は、同じ会社内でもプロフィットセンターである直接部門のほうが、コストセンターである間接部門より給与水準は高くなります。

以上のように、年収決定の方程式であげた項目を一つひとつ検討し、転職でより有利なほうに変えていくことができれば、仕事の内容は今までと同じでも、年収アップを勝ち取れる場合があります。

そして繰り返しになりますが、VUCAの時代を迎えて年収決定の方程式の各項目が不安定になっていることも頭に入れつつ、よりよい方向に変更できる項目はないかを検討してみて下さい。新しいチャンスを見いだせるかもしれません。

丸山貴宏
クライス・アンド・カンパニー社長。リクルートで人事採用を7年担当した後、1993年に30~40代の経営幹部を中心にしたビジネスプロフェッショナルのための人材紹介会社、クライス・アンド・カンパニーを設立。著書に「自分に合った働き方を手に入れる!転職面接の話し方・伝え方」「そのひと言で面接官に嫌われます」ほか。

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