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注目の職業やビジネスに携わり、第一線で働く人のキャリアを紹介する連載「フロントランナーの履歴書」。今回は、J・ フロントリテイリング傘下の大丸松坂屋百貨店でDX(デジタル・トランスフォーメーション)戦略をリードする岡崎路易さんの「履歴書」を見ていきます。

出戻り社員に託されたDXの仕事とは

「大丸松坂屋の野崎さん」というインフルエンサーをご存じだろうか。

配信主は実際に大丸松坂屋百貨店で働く7年目女性社員「野崎さん」。スイーツ好きな野崎さんがデパ地下グルメを「オフィスでこっそり爆食」しているというユニークな動画で、2月に始めたばかりのTikTok(ティックトック)の累計再生回数は300万回を超えた。このインフルエンサーは同社のDX戦略の一環で生み出されたものだという。DX推進部部長の岡崎さんがその仕掛け人だ。

岡崎さんがDXの「特命」を打診されたのはコロナ禍が始まった2020年5月。相次ぐ臨時休業や時短営業で売り上げが急減した百貨店業界では、店舗だけに頼らない新しい収益モデルを探すことが急務になった。そして当時、大丸松坂屋から転職してヤフーに在籍していた岡崎さんに声がかかった。

「新規事業は多産多死。どんどん生み出す仕組みを作りたい」(岡崎さん)という言葉通り、この1年半の間に次々と新規ビジネスを立ち上げた。月額制のファッションレンタル事業、ブランド横断のコスメアドバイザー、アートメディア、店で実物を確認してウェブで購入するショールーミング型店舗――。いずれも出戻り後の1カ月で作成した事業計画書に描いたものを実行しているという。その事業計画策定こそ岡崎さんの得意分野だ。

岡崎さんの経歴は少し変わっている。DX担当者はマーケティングやシステム系の出身者が多いが、岡崎さんはどちらでもなく、財務畑なのだ。しかも働きながら神戸大学で経営学修士号(MBA)を取得したのち、さらに博士課程まで進んだ、会計や経営管理のプロである。DX戦略のキーパーソンになるまでの道のりを聞いた。

大学院での学び、M&Aで実践

――なぜMBAに通おうと思ったのですか。

大丸神戸店でショップ店長、メンズ売り場のリーダーと順調に昇格していましたが、30歳を手前にして、この先どうしようかと考えていたんです。広報やバイヤーはどうかなとか、色々な選択肢を考える中で、そのときは売り場の近くにいたのでマーケティングを学べたらいいなと思ってMBAに通うことにしました。MBAに通っているときの生活は金曜日の夜に授業、土曜日は一日中授業。さらに毎週5冊の課題図書で、徹夜することも多くてすごく大変でしたね。

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