2022/4/11
「鮨 北條」のスペシャリテ「小肌」。取材日は熊本県天草産

次は握り。「鮨 北條」のスペシャリテであり、また江戸前ずしの看板とも言える「小肌」は熊本県天草産のもの。取材日のコハダはサイズが小ぶりのため2枚付けにしているそう。

コハダは下ごしらえの段階でしっかりめに塩をしてから塩抜きし、薄い身にちょうどいい具合になじむよう酢で漬ける。この見切り具合もプロの技ならでは。

ひと口食べると、うま味と酸味、甘みと、いくつもの味が口いっぱいに広がる。背中に縦1本、すっと入った包丁目の効果でかみ心地もよく、そしてほろりとした食感のシャリがいっそうネタの味を引き立てている。

シャリは北條さんの好きなコメだという、福島県産「コシヒカリ」と宮城県産「ひとめぼれ」をブレンドしたもの。崩れ具合のいい、粒の大きなものを選んで使っているそうだ。

また、古米を使うすし店が多い中で、こちらでは新米を選んで使っている。

「やはり新米のおいしさは日本人なら誰でもおいしいと思う味」という北條さんのこだわりから、水分含有量の多い新米を、シャリに合うように水加減を調整しながら炊いている。

シャリの味付けは酢と塩のみのシャープな味わい。3年寝かした赤酢と1年寝かした純米大吟醸の赤酢、米酢の3種をブレンドして使うことで、味に深みを出している。

「煮イカ」。かみやすいようにミリ単位の細かい包丁が入っている

次いで、青森県産スルメイカの「煮イカ」。

江戸前ずしといえば煮アナゴや煮ハマグリなど、火を入れた煮物のネタが代表的。中でも火入れ具合の難しいイカを出しているとは、正統派江戸前ずしファンにとってはうれしい限り。

また、驚きなのが歯ごたえと生のイカのレア感を感じる食感。あまり火を入れず、低めの温度の湯でさっと火入れし、硬くなる寸前のギリギリで引き上げるのがポイントだそう。

そして食べにくさから苦手とする人も多いイカだが、こちらではミリ単位の驚くほど細かい包丁が入っており、すっとかむことができる。

味を仕上げるツメは、ゲソのだしと酒、水にしょうゆを少々加えたもの。仕上げにユズを振ることでさわやかな後味に仕上げてあり、煮物の甘みが苦手という人にもぜひ試してほしい1品だ。