発祥の地で味わう正統派江戸前ずし 東京・両国

2022/4/11
「鰯(イワシ)と薬味の海苔巻き」。店主が修業した「都寿司」の看板メニューで、同店出身の職人の間で作り続けられている

江戸前ずしの原型である、魚類と酢飯を握った「早ずし」、つまり「握りずし」が生まれたのは江戸時代、墨田区両国からだと言われている。

そんな「江戸前ずし発祥の地」両国にある、正統派の江戸前ずしを味わえるのが「鮨 北條」。

Summary
1.老舗すし店や人気ホテルで磨いた技を生かした、両国の正統派江戸前ずし
2.下町情緒あふれるロケーションとおもてなしで初めての方でもリラックス
3.素材は毎日、店主自らが豊洲市場で目利き

店主を務めるのは北條充さん。海の近くで育った根っからの「魚好き」である北條さんは、魚を一番扱える料理ということですし職人を目指す。

創業1887年、日本のすし界を代表する職人を数多く輩出している蛎殻町「都寿司」で修業を始め、その後は人気ホテル「マンダリンオリエンタル東京」のすし店「鮨そら」(現在は閉店)などですしの技や目利きなどを学んだそう。

独立の地に両国を選んだのは、「落ち着いたロケーションで開業したかったことと、江戸前ずし発祥の地ですしを握るのも面白いなと思い」(北條さん)とのこと。

その言葉通り、大通りから少し入った立地は駅近とは思えないほど静か。近くの両国公園の緑もさわやかだ。

店内に入ると白木のカウンターを主役に、シンプルで凛(りん)とした空間が広がる。一般的に初めて入るすし店というものは緊張しがちだが、北條さんの柔和な雰囲気と落ち着きのある空間づくりに誰もがなごめそうだ。

さて、このような雰囲気の「鮨 北條」が提供するのは、素材を主役にしたシンプルな江戸前ずし。

「やはり主役はネタ。主役を立てるためには過剰に味をのせない方がいい。なので、うちのすしは魚自身が持つうま味や味を引き出すことに主軸を置いています」(北條さん)

そんな北條さんは毎日豊洲市場まで足を運び、自分の目で見たネタだけを仕入れているという。

「『第一印象のいい魚』ってやはり味もいいんです。そのためには人任せにせず、自分が魚と向き合うことが大事」と語る。

さて、江戸前ずし発祥の地で握る、令和の江戸前ずしとはどのようなものか? さっそくつまみや握りを見せてもらった。

「鰯と薬味の海苔巻き」はネタを置く位置や力加減によってきれいに巻けて、時間が経っても巻きがゆるまない

まず出してくれたのは修業先の「都寿司」の看板メニューで、「都寿司」出身の職人の間でも作り続けられている「鰯(イワシ)と薬味の海苔(のり)巻き」から。

しっかり酢締めした旬の光り物(今回は岸和田産のイワシを使用)に、ネギ・ガリ・シソなどの薬味をのせ、のりで巻いたもの。

コクのある光り物独特の脂のうま味と酢と薬味のさわやかな組み合わせがよく、スターターとしてはもちろん、握りの合間の口直しにもお薦めの1品だ。お好みでワサビを添えていただいても、より後味がすっきりしてこれまたおいしい。

ぜひ見てほしいのがこの巻き込みの美しさ。酢で締めてもなお脂っ気のあるイワシとバラけやすい薬味をしっかり巻くのは、素人目で見てもかなり難しい。

しかし、ネタを置く位置や力加減で、このようにキュッときれいに巻けるそう。しかも時間が経ってもその巻きがゆるまないのは、さすがの職人技であろう。