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欧米の先進IT企業を中心に経済学の知見をビジネスに生かそうという動きが広まっている。DX(デジタルトランスフォーメーション)の必要性が高まる中、その動きはIT業界にとどまるものではない。経済学の社会実装というミッションを掲げて事業展開するエコノミクスデザイン(東京・新宿)の代表取締役、今井誠氏がその背景や具体的な実装例、活用に向けた経済学の学び方を解説する。

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過去の成功は未来の成功の裏付けにはならない

既存のビジネスで、成功を収めている企業は多数あります。しかし、新規技術の開発速度はますます上がり、世界標準で戦うことが当たり前になりつつあるこの時代に、成功し続けることはとても難しい。多くの方が、「今まで通りのやり方では、通用しない」と感じているのではないでしょうか。そんな時代にさまざまな分野のビジネスの武器となるのが、先端「経済学」の知見の活用です。

今回は、「経済学」のビジネス活用について、実体験から話してみたいと思います。今回実装する学知は、「オークション理論」。オークション理論は、2020年ポール・ミルグロムとロバート・ウィルソンがノーベル経済学賞を受賞し、今もなお、Web3.0サービス設計などでも近しい研究分野が注目され、新たな発展を遂げています。

18年4月から、私のオークション理論のビジネス実装は始まりました。とくに強く課題意識を持っていたのが、「オークション」という仕組みそのものです。

当時、私は不動産オークションの運営会社、デューデリ&ディール(DD)の経営陣の一人でした。不動産オークションとは、複数の購入検討者に不動産売買価格を競ってもらう仕組みです。当時の手法は2000年代半ばごろから活用しているもので、多岐にわたる業界のオークション事例を参考に、不動産業界に合うように、不動産取引が成立しやすいように、と社内で考案したノウハウでした。こうして生み出された同社のオークションは細部にわたってノウハウがつくりこまれていたと思います。しかし一方で、私は、「もっと精度の高いオークションの仕組みがあるのではないか?」とも感じていました。また、同社のオークション技術が可視化できていなかったことも課題でした。

こうした課題に対して、経済学が何かヒントをくれるのではないか。このように考えたのです。

写真はイメージ=PIXTA

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