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これまでの職業生活を振り返ってみてほしい。誰しも、いくつかの「転換点」、すなわち異なるステージに上る機会があるだろう。転職や異動は典型的な転換点だが、たとえ同じ会社、同じ部署で同じような仕事を続けていたとしても、家庭を持つなどの生活環境の変化や、社会環境が変わったりする。それらに応じて、意識しなくても働き方が変わっていたりもする。そういった転換点を経ることは昨今、「ライフシフト」と呼ばれることが多い。リスキリングはライフシフトのために行うものだ。

本書『DX時代のITエンジニアのライフシフト』では、ITに関する仕事をしてきた技術者や事務職(カスタマーサポートなど)を「IT屋」と呼ぶ。長年専門的な業務に従事してきたIT屋は、各企業が喫緊の課題としてこぞってデジタルトランスフォーメーション(DX)に取り組もうとしている今、引く手あまたのようにも思える。

しかしながら、テクノロジーが指数関数的に進化する今日、古い技術しか知らないIT屋の活躍の場は少なくなり、やがてなくなってしまうだろう。そこで本書では、クラウド、AI(人工知能)、ビッグデータといったテクノロジーの最新トレンドに対応し、それまでのキャリアを生かしながら仕事をするための考え方と方法論を示している。

著者の渡部豊氏は、オージス総研、日本オラクル、デロイトトーマツなどを経て、2019年2月に52歳で合同会社オフィスWATAを設立。以来、フリーランスのITコンサルタントとして各種プロジェクトに従事している。自身も数年に一度の転換点を経験してきたIT屋だ。

本書を読み通すと、ここに書かれていることは、IT屋だけに当てはまるわけではないことがわかる。あらゆる業種・職種におけるキャリアチェンジを考える上で参考になる一冊なのだ。

「3つの法則」でキャリアを見つめ

直す

著者は本書で、IT屋が技術と経験を生かしてライフシフトを成功させるための法則を提示している。「ゼネラリスト志向」「三方よしアプローチ」「中長期プランニング」と名付けられた「3つの法則」がそれだ。

最初のゼネラリスト志向は、大抵はスペシャリストであるIT屋にとって違和感があるかもしれない。だが、あらためて自身のキャリアを見つめ直すと、多くの人が、実はゼネラリスト的な業務も行ってきていることがわかることだろう。

例えば、業務システム開発に携わってきた「アプリケーションスペシャリスト」であるIT屋の場合、チームを率いて進捗管理をした経験が相応にあるのならば、「プロジェクトマネジャー」として働ける可能性も十分にある。「自分は○○の専門家だから○○に関する業務に従事してきた」などと単純に捉えずに、自らの業務経験をさまざまな角度から眺め分解してみると、専門外の知識や経験があることが発見できるのではないか。そこを手がかりに方向を定めてリスキリングをしていけば、これまでの業務を生かしながら、専門外の新しいことにもチャレンジしていけるだろう。

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