「1枚売り」でいろいろ味わえる焼肉店 東京・大森

2022/3/14
「板門店」では1枚から注文できる部位もあるので、食べたことのない部位も気軽に試せる

「板門店」は、JR京浜東北線・大森駅と、都営浅草線・馬込駅のほぼ中間にある焼肉店。1967年創業で、現在の店主で3代目。地元で長く愛され続けている焼肉店だ。

それぞれの駅から10分ほど歩いた環七通り沿いにある「板門店」。角地に面していて、「焼肉」の大きな看板が遠くからも目立つ。

入り口近くには広々としたテーブル席があり、隣のフロアには居心地のいいソファ席も。

奥には、靴を脱いであがることのできる小上がりの掘りごたつ席まである。1人焼き肉でも家族連れでも、グループでの宴会でも対応可能で使い勝手がよさそうだ。

店主は3代目となる木戸大碩(だいせき)さん。「板門店」で提供している一品料理は、創業者である木戸さんの祖母が家族のために作っていた家庭料理をベースに、改良を加えたもの。韓国料理ではあってもそれほど辛みが強くないので、辛いものが苦手な女性や子供にも好評だ。

「辛さが強すぎると、その刺激をやわらげようと味覚が少しマヒします。すると、うま味もわかりにくくなる。僕自身があまり辛すぎる料理が好みではないこともありますが、バランスを間違えない味づくりを心がけています」と木戸さん。

木戸さんはいろんな店の食べ歩きが大好きで、肉を1枚から注文するスタイルを思いついたのは焼鳥店で食事をしていた時。「一貫から注文できるすし、1~2本から注文できる焼き鳥など、小ロットから注文ができるスタイルを焼き肉に落とし込めないか?」と思い、「1枚売り」を始めた。

確かに1枚からオーダーできることで、「コースで食べておいしかったお肉を、追加でもう1枚だけ食べたい」「いろんな部位を食べ比べたい」「食べたことのない部位に挑戦してみたい」など、これまで焼肉店でかなえられなかったいろんなことがかなえられる。

肉は木戸さん自らが目利きをして仕入れ、「1枚1枚、最高においしく味わってもらえるストーリーを考えながら」(木戸さん)切り方を工夫している。

1枚からオーダーできる肉の例を紹介しよう。

「上ロース(タレ)」はやや厚切りのスライス。少々甘めのタレが肉の脂の甘みを引き出す

「上ロース(タレ)」は、A4からA5クラスの黒毛和牛のもも肉「トモサンカク」を使用。

「その店の個性・特徴は料理の味付け、特に焼き肉のタレに出ると思っています。一番差が出るのは、カルビなどの味付けに使うモミダレ。次点でホルモンなどに使われる味噌ダレ、バランス取りの難しい塩ダレ。この上ロースはぜひ、うちの自慢のタレをもみこんだ『タレ焼き』から召し上がってみてください」(木戸さん)

やや厚切りのスライスなので、甘みのある脂と、それに負けない赤身のうま味がはっきりと感じられる。やや甘めのタレが、肉の脂の甘みをさらに引き出している。

「カイノミ」はカルビの一種で、赤身のうま味とほどよい脂、ほどけるような食感の軟らかな赤身の繊維が特徴。タレ焼きがお薦めだが、塩でさっぱり味わうのにも向いているという。

「上ミノ」(牛の一番目の胃袋)は、ホルモンの中でも木戸さんが一番好きな部位。そのため特にこだわりが強く、厚みのあるオーストラリア産のミノの中でもとくに厚みのある部位だけを1枚40グラムというボリュームで提供している。

「肉厚で軟らかい中にも最後の『ジャキッ』とかみ切るミノ独特の食感を奥歯で感じられるように、ミノの表側のみに深く切れ込みを入れています。そうすることで奥歯、耳、脳に印象が刻まれて、『あの食感をもう一度食べたい』と、味以外の強い印象を残せれば、という狙いがあります」(木戸さん)

40グラムというのは、木戸さん基準の「一口で食べることができる限界サイズ」であり、「実際は多くのお客様は食べやすい好みの大きさにカットして召し上がっています」とのこと。ミノ好きな方に絶対に食べてほしい1品だ。