新しい地図の決定的な特徴は気候変動

ノンフィクションのように歴史的経緯を丹念に記述していくのが本書の大きな特徴だ。「米国の新しい地図」はシェール革命に焦点をあて、ダラス近郊の発祥地「SHグリフィン第4天然ガス井」から説き起こす。「中国の地図」は「南シナ海は、米中の最も危険ない衝突の可能性をはらんでいる」という元北大西洋条約機構(NATO)軍最高司令官の言葉から書き始め、南シナ海をめぐる周辺各国や米中の動き、一帯一路までを描いていく。

広大な地図と歴史をたどったあとで、著者は「石油に地政学的ないリスクがつきまとい、ときに予期せぬリスクが生じることは今後も避けられない」と著者は結論づける。ただ「そういうリスクはいくつかの要因によって緩和されるだろう」とみる。オートテックも脱炭素もそうした要因の1つだ。「気候変動が新しい地図の決定的な特徴になったことにより、エネルギーと国家の関係に新しい時代が開かれようとしている」というのが著者の示す未来図だ。

「入荷直後の動きがよかったので、より目立つところに並べ直した」と店長の加藤よしこさんは話す。柱前に設置した面陳列棚の最上段に7冊並んでいるのは、真っ赤な装丁と相まってなかなか壮観で目をひく。時宜を得た発売タイミングも功を奏しているようだ。

『エンベデッド・ファイナンスの衝撃』が2位

それでは、先週のランキングを見ていこう。

(1)中小企業のための「コンサルティング」活用術山中一浩著(幻冬舎)
(2)エンベデッド・ファイナンスの衝撃城田真琴著(東洋経済新報社)
(3)すごい左利き加藤俊徳著(ダイヤモンド社)
(4)経営者交代 ロッテ創業者はなぜ失敗したのか松崎隆司著(ダイヤモンド社)
(5)新しい世界の資源地図ダニエル・ヤーギン著(東洋経済新報社)

(紀伊国屋書店大手町ビル店、2022年2月21~27日)

1位は中小企業コンサルティングを手がけてきた著者がオーダーメード型のコンサルティングの活用法を指南した本。2位の本のタイトルにあるエンベデッド・ファイナンスとは、金融以外の事業者が既存の金融サービスを自らのサービスに組み込んで新たなサービスを生み出す仕組みのこと。これが大きく広がっていくトレンドを解説する。21年12月刊の本で、息の長い売れ筋になってきた。3位の左利きの特徴と生かし方を説く本も同9月刊で、息の長い売れ筋だ。4位は、経済誌などで活躍するジャーナリストがロッテ創業者の事業承継の失敗の本質を読み解いた本。今回紹介した資源地図の本は5位だった。

(水柿武志)

新しい世界の資源地図: エネルギー・気候変動・国家の衝突

著者 : ダニエル・ヤーギン
出版 : 東洋経済新報社
価格 : 3,520 円(税込み)