2021/12/17

睡眠時間の変化:睡眠時間はどんどん減っていく

そもそも皆さんはどの世代でも、「7、8時間は眠れる」とか「7、8時間眠らないといけない」と思い込んでいませんか? でもよく考えてみると、赤ちゃんの時はもっと寝ていましたよね。実は、睡眠時間は加齢と共にどんどん減っていきます(図1)。一方で、「よく寝た感じがしない」時にどうするかというと、寝床にいる時間が増えます。図1を見ていただくと、睡眠時間は減っていくのに、臥床時間は働き時代以降、大きく変化。ポイントは、実質的な睡眠時間を増やすことはできないということです。

出典:Ohayon MM; Carskadon MA; Guilleminault C; Vitiello MV. Meta- analysis of quantitative sleep parameters from childhood to old age in healthy individuals: developing normative sleep values across the human lifespan. SLEEP 2004;27(7):1255-73.

「睡眠時間<寝床にいる時間」になるとどうなると思いますか? 実は睡眠時間が分断してしまいます。例えば、6時間の睡眠時間の方が10時間寝床にいたとしましょう。すると、10時間の間に合計で6時間の睡眠をとるので、寝つきが悪い日、途中で目が覚める日、朝早く目が覚める日が現れるのです。

睡眠―覚醒リズムの変化:世代とともに生体リズムも変わる

睡眠―覚醒リズムとは、眠りに落ちて、目が覚めるという生体リズムのことで、自分の意思とは関係がありません。

生まれて間もない赤ちゃん(新生児)は、2~3時間おきの睡眠を繰り返します。その後、徐々にまとまった睡眠がとれるようになり、1歳くらいになると、それが安定して取れるようになっていき、4歳ごろにはお昼寝の回数も減ってきます。

小学生のころは、「睡眠―覚醒」のリズムがもっとも安定するので早寝早起きができますが、学生時代に入るとそのリズムが後退し、眠れる時刻が遅くなっていくという現象が起きます。これによって、「最近なかなか寝つけない」という訴えにつながるとともに、比較的長い睡眠時間が必要なことから寝不足が続くと、「朝、起きられない」という状態になります。

働き世代では、就寝時刻が遅いことに加えて、そもそもの睡眠時間が減っていきます。前半の若年成人は睡眠不足の問題が顕著ですが、働き世代前半から後半かけて睡眠時間は減少していきますので、だんだんと起床困難が減ってきます。

高齢者では、学生時代とは反対に、睡眠―覚醒リズムが早まります。それに加えて睡眠時間が短くなるため、「早寝―超早起き」になります。それが原因で「朝早く目が覚めてしまう」ことが気になってしまうのですが、体に必要な睡眠時間は確保できていることがほとんどです。また、睡眠自体が浅くなるため、青春時代以降、影を潜めていた日中のお昼寝も再び出現してきます。

このように見てみると、加齢に伴う睡眠状態の変化が睡眠の悩みに大きく影響していることがわかると思います。もちろん、それだけではなく、生活習慣の問題(運動、食事、仕事など)も関わってきますので、第3回目でお話しします。

岡島 義(いさ)氏 
東京家政大人文学部心理カウンセリング学科(睡眠行動科学研究室) 准教授。博士(臨床心理学)。日大文理学部卒、北海道医療大大学院博士課程修了。早大人間科学学術院助教などを経て2018年より現職。毎日8~9時間睡眠をとると快調だと気づき、夜9時に寝て朝5時ごろ起きる生活を続けている。
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