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転職にあたっては「やりたいこと」「天職イメージ」への意識を持つのが望ましいといわれるが、実際には明確なキャリアゴールを据えるのは容易ではない。そうした状況にあっては、「求められた成果を出す」という、マーケットイン的な考え方も転職先を選ぶうえでの手がかりになり得るだろう。転職サイト「日経転職版」は特別セミナー「マーケターのように生きるとは? 必要とされるキャリアの見つけ方」を開催した。ソフトバンクコミュニケーション本部メディア統括部長の井上大輔氏に、幸せなキャリアを築くためにマーケター思考を取り入れる方法について語ってもらった。

皆さんは、将来のキャリアについて、なりたい姿のイメージややりたいことを明確にもっているでしょうか。私自身は、恥ずかしながら明確なキャリアゴールを持っていません。しかし、具体的なキャリアイメージを持っていなくても、幸せなキャリアを築くことはできます。その答えが、「マーケターのように生きる」ことの中にあると、私は考えています。

キャリアのゴールを決めるのは容易ではない(写真はイメージ) =PIXTA

キャリアのゴールを決めるのは容易ではない(写真はイメージ) =PIXTA

では、マーケターとは何をする人でしょうか。マーケターの仕事として広告・宣伝をイメージする人は多いと思いますが、そもそもマーケティングとは広告・宣伝のことではありません。

まず、マーケティングの本場、米国にある全米マーケティング協会による定義を簡単に説明すると、マーケティングは「価値を作り、それを届けて、相手のもっている別の価値と交換する全体のプロセスを考えること」です。これを、もう少し具体的に4つのステップで説明しているのがこの図です。

相手の求めるものを理解してつくって伝える、このプロセス全体がマーケティングです。一般的にマーケティングと言うと、最後の4番目のステップの「価値の伝達」をイメージする人が多いと思います。もちろん、広告・宣伝は非常に重要なプロセスの1つではありますが、ここはあくまでも一部でしかないことを認識しておく必要があります。

さらに、実際のマーケティングのプロセスでは、市場を決めてニーズを探りお客様のほしいものをつくる「マーケットイン」と、お客様が求めているものをつくるのではなく、つくり手が頭の中にあるアイデアからつくりたいものを作る「プロダクトアウト」という2つのアプローチがあります。これは、どちらが正しい・間違っているという話ではありません。最終的にお客様に必要とされるものを生み出すことになるので、両方とも正しいアプローチです。

そして、これと同じことが、キャリアの築き方や仕事を含む生き方、人生に向き合うスタンスにも言えると思います。「マーケットイン」的な発想で生きることを「マーケターのように生きる」と私は呼んでいます。すると、「プロダクトアウト」的なキャリアの作り方は「アーティストのように生きる」と言うことができます。これもまた、どちらが正しい・正しくないということではありません。

両方とも充実したキャリアをつくるためのアプローチになると思いますが、昨今のキャリア論や自己啓発論では、「アーティストのように生きる」ような、自分起点であり自分の表現を追求することが個性の実現であると捉え、それが「天職」だと語られていることが多いように感じます。もちろん、それは素晴らしいことだと思いますが、私自身はこの考え方が自分には合わないと思いました。冒頭で申し上げたように、私は自分のやりたいことを明確にもっていないからです。

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